● 2001年11月の食べ歩き
■ 11月25日(日) 名代にぼしラーメン時代屋@栃木・河内郡 ■ 11月18日(日) サニー@西東京/まんぼう亭@小金井/大山家@武蔵野 〜トトロ家族の武蔵野探訪〜『ジブリ美術館@三鷹』奮闘記 ■ 11月11日(日) 勢得@町屋/砦@渋谷/二郎@仙川/一蘭@六本木 ■ 11月03日(祝) 「ZUNDO BAR@厚木」のコンセプトには納得するしかないだろう ZUNDO BAR@厚木/いまむら@横浜 > ちなみにこの月に食べた地元の店は以下の通り ≫ 『食べ倒し日記 2001/11』へ
11月29日(木)●とんこつ家@ひたちなか・高場
11月28日(水)●とんこつ家@水戸・平須
11月13日(火)●じゃんがら@駅南
11月13日(火)●華饌@水戸・萱場町
11月08日(木)●えぞっ子@水戸・東前
11月07日(水)●一番館@水戸・栄町
11月06日(火)●丸十食堂@ひたちなか
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■ 11月25日(日)名代にぼしラーメン時代屋@栃木・河内郡
● 例の如く仕事の関係で出発は昼近い。実は今日は12回目の結婚記念日。もう十分マンネリ化しているのだが(笑),ちょうど日曜でもあるし一応それなりのイベントをせねばなるまい。つい最近まで,この日は仕事終了後の夜に夫婦二人で「レ・アル@水戸・千波」に,愛車カプチーノの屋根を外してオープンカーにして,ふるえながら行くと言うお馬鹿なイベントをこなすことを恒例としていたのだが,娘達が大きくなってそうもいかなくなってきた。置いていくと不満が出るのである。と言うわけで,そのお祝いとしての夕食を家族4人でゆっくりいただくには,やはり地元の店しかないだろう。もちろんさすがこんな日は「ラーメン以外のもの」を・・・。となれば,夕飯時に地元に戻れる距離と言うことで,「栃木」方面に行くことにする。必然的に昼食はラーメンだ。例の如く「ベストオブラーメン栃木」(>「栃木ラーメン本」発刊記念・宇都宮周辺のラーメン店巡り参照)のページを繰って,気になる店を選び出す。水戸を過ぎR50・笠間から益子町を抜けて宇都宮方面へ。目的地はその北側の河内町。 ■ 時代屋@栃木:河内郡河内町中岡本2583-12 月休 11:30〜15/17〜21 ● 「名代にぼしラーメン時代屋」が正式な名称。ちょっと前にネット上・マスコミ上でよく話題になった「時代屋@渋谷」(僕自身はふられ続けて未だに未食)の系列店。実際は五反田店(僕自身はこの支店の存在を知らなかった)で修行して1998年8月に開業したようだ。JR岡本駅近く,R4から岡本小近くの陸橋を超えた紅葉の並木道沿い。「名代にぼしラーメン」と大きく筆文字で描かれた黄色いテント看板がよく目立つ。店内カウンターの頭上にもなぜか大きく「名代煮干しラーメン」の文字。店内は木目基調の内装。古い店を改装したような感じだ。若い店主のイメージがあったのだが,店主に貫禄がありベテランっぽい「風貌」。修行のし直しの再出発だろうか?夫婦2人でやっている印象。ありがちな「東京の有名店の系列店」を強調するような感じはない。家族4人で「にぼし正油・650円」を2杯と「つけめん・700円」「みそラーメン・650円」を注文。正油の一つを「こってり=背脂増し100円」にする。あとメニュー的には「塩ラーメン」もあるのだが,売り切れだろうか壁の札がまくってあった。なんとラーメンの人は全時間ライス無料。餃子が200円だからセットで850円とかなりお得な値段設定。スープは量的には少なめだが,ガツンガツンとくる見事な煮干し味。茨城〜栃木ではなかなかお目にかかれないタイプだ。その分ツルッとした平麺がスープに負けている感じもする。この点,本には「麺は渋谷本店から取り寄せているが、最近極太ストレートの平麺に変えた」と書いてある。どう言う意味なんだろう?。取り寄せている麺の種類を変えたということかな?いずれにせよ「極太」と言うほどではなかったと思う。厚目のバラロールチャーシューはホグレル感じで秀逸。背脂自体は標準で煮干しにも味噌にも入るのだが,それを「こってり」にすると背脂がかなり入ることになる。もともとが煮干し味なのだから味噌はかなり濃厚。日本酒の香りが強かった。味噌の場合,具は茹でモヤシにメンマとチャーシューだから,これで正油と同じ650円ならお得な感じ。娘が食べていた「つけめん」はナルト&チャーシューの切片がゴロゴロ入ったつけ汁。辛味酸味はあまり強調していないからインパクトは薄い。麺は太めの刻みのりがパラパラとかけてある。煮干し系のインパクトあるラーメンが好きな人なら,茨城〜栃木では貴重な店となるだろう。 ● ラーメン的な目的は達成されたので帰途につく。そのまま東に向かい烏山方面へ。茨城との県境近くに「やまびこの湯からすやま」(那須郡烏山町大字横枕473-1・大人400・小中200円<0287-82-0026>)と言う温泉施設があった。施設内容はうたせ湯・露天風呂・泡風呂・サウナ等々。平屋のすっきりした外観だ。敷地内に野菜直売所があり,妻は野菜を数点購入した模様。 ● 大宮に向かうR293に出た。以前来た「いちご大福@緒川村」(>詳しくは食べ歩き日記2001/09/15参照)に客が行列している。もちろんせっかく通ったことだからと,適当に大福を10個ほど買っていく。山方町を抜けR118に出たら北上し,「岩井橋」交差点を東へ向かう。ちょっと不安になるくらい山間の道を走るとライトアップされた立派な施設が見えてくる。 ■ 三太の湯@山方:山方町諸沢5071 第1・3月休 10〜21(入館は20まで)<0295-57-4126> 700円(土日祝1000円・17時以降は500円・小人250円)・P200台 ● よくもまぁこんな奥まったところに造ったなぁと思ってしまうくらいの山間の集落の奥にある。日が暮れてから行くと駐車場をぐるっと囲む木造の回廊がぼんやりとライトアップされて実に幻想的。その奥の建物もエントランス棟・ロビー棟・浴室棟さらにはレストラン棟まで別棟の建物になっているため,実に手がかかっている感じがする。その浴室棟は東館と西館に分かれ,日帰りのこう言った施設としてはかなり大きい空間。実は今回,前回来た時ほど感激はなかったのだが,それは入った棟が違うからだった。前回入ったのは和風の造りの「東館」で,灯りが落とされ実に幻想的だった。それと比べると今日入ったモダンな造りの「西館」は大理石調で明るいものの平凡かな・・・。奇数日は東館が男湯,偶数日はその逆になるそうだが,カップル(夫婦)で行く場合要注意だろう。どちらに入るかで印象はかなり違ってくる。 ● さて問題の夕食,ここ10年来の結婚記念日の定番「レ・アル@水戸・千波」(去年は親子4人で行った)に行くか,下の娘の大好きな食べ放題の店「スタミナ太郎@水戸・河和田」に行き死ぬほど食べまくるか,市内各所にある庶民の店「元気寿司@水戸」(いい方のネタはまぁそれなりのものなのだが,安いネタにけっこう楽しいのが多いと思う)で北海フェアをチェックするか等々選択肢がいろいろ。がここにきて,なんと妻が風邪による体調不良を訴える。そんな状態で無理して食べるわけにも行かず,また妻が言うように妻を残して子供と食べてきては「結婚記念日」の意味がない。泣く泣くそのまま自宅に帰ることになる。なんてこったい・・・(ちなみに翌日の昼食に妻と「元気寿司@水戸酒門」へ,下の娘の誕生日である翌週の12/1に家族で「スタミナ太郎@水戸河和田」へ行って来た・実に庶民的)。
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■ 11月18日(日)サニー@西東京/まんぼう亭@小金井/大山家@武蔵野
>トトロ家族の武蔵野探訪〜『ジブリ美術館@三鷹』奮闘記 参照
● 11月に入って以来,そろそろ例の『三鷹の森・ジブリ美術館』の目星をつけようかと,思い出しては指定の電話番号(「チケット購入」参照)にかけてみるのだが,相変わらずローソンへ・チケットへの電話はまるでつながらない・・・。そんな中,ふと久々にローソンのサイトを見たら「チケット販売状況」の項が。さっそく見てみてびっくり。予約は12月まで完売なのである。平日まで完売なのだから末恐ろしい。考えてみれば「千と千尋の神隠し」があれほどのヒットをしたのだから,昔からのファンも含めて美術館に行こうというファンが巨大化するのは当然と言えば当然。9月に秋田に行った時(>「2001年東北横断・賢治と芭蕉とラーメンの旅」参照)も,秋田のローソンにまで大きくジブリ美術館のポスターが貼ってあったから,もはやディズニーランド〜ディズニーシーレベルの全国的レジャー施設なのだろう。来年の1〜3月分は11/20AM10:00に販売開始と言う。どうしたものか。そんな先の予定なんて普通立てられない・・・。そんな中,DMで千と千尋の神隠しの不思議の町のモデルになった「江戸東京たてもの園」の情報をいただく。両国の「江戸東京博物館」に行った時(2000/06/04)に「江戸東京たてもの園」の存在は知っていたのだが,そう言えば「千と千尋の神隠し」の制作発表もこの公園で行われていた。これはまず娘達にここを見せて,とりあえず時間を稼ぐという手を思いつく。 ● 風邪気味の妻を無理矢理誘って(1人で娘2人連れて東京へは行けない),10時半に自宅を出る。常磐高速で東京へ。三郷から外環自動車道へ入ればまず渋滞はない。大泉インターまであっという間についた。もちろんラーメンを忘れてはいけない。大泉と小金井を結ぶ中間にちょうどいい店があった。大勝軒系の「サニー@ひばりヶ丘」。時間的にも距離的にも丁度いい。でも,ここまでの道が難解だった。 ■ サニー@西東京:西東京市ひばりヶ丘3-2-4 11:30〜19:30(スープ切れ終了) <0424-24-3214> ● およそラーメン店らしくない名前だが、元々は喫茶店だそうで大勝軒で修行したのちに開店したそうな。西武池袋線ひばりヶ丘北口を出て右側に歩いてすぐと言う位置関係だが、クルマの場合,外環を降りて大泉学園〜保谷方面からだと駅北側のこの一帯へはかなり狭い入りくんだ道を走らせられることになる。カーナビがあっても苦労した。偶然見つけた北側の銀行(信金?)の駐車場(コインパーキング・日祝10分100円)へ。店に駐車場もあるようだが(2台)わからなかった。その名も「サニービル」と言うビルの1F部分角が店。外観は茶色い壁の落ち着いた感じ。およそ「サニー」と言うイメージではないが、看板に「特製もりそば」と描かれているからわかりやすいだろう。明るい店内は右に広めの調理場を囲む高めのカウンター(13席)左の窓側にテーブルが2台。もちろん満席で入口脇に並んで待つこと暫し。この店のメインとなる「中華つけめん」(もりそば)はなんと麺330g(650円)。温も同じ。女性用か「小」途言うのもあるがそれでも230gだからまだ多い(600円)。ちなみに「大」もあり500gで800円。ただし「1人で食べられる方」と言う条件があるから注意が必要。こうなると小1の小柄な娘のいる我が家としては注文が難しいが、普通で330gなら普通の店の「大盛り」だろう。つけ麺2つにラーメン(280g/630円)を1つ注文。言わなくても子供用の器が出てきたのはうれしい。大勝軒の店には珍しく「みそラーメン」もあった(730円)。最初からチャーシュー・メンマ・ナルト・茹で玉子の入った「大勝軒スタイル」のつけ汁は甘酸味。辛味はあまりなく,全体としてはライトな印象。麺にからみつくような感じはあまりなく、大勝軒フリークから見れば「薄い?」と言われそうだが,このくらいが一般受けするのかもしれない。麺はまん丸ではなく,角のある白い麺。大勝軒系独特のもちっとした感じは少なくこれも一般受けする感じか。線路の南側に出てからは普通の道になった。予定通り小金井に向かう。 ■ 江戸東京たてもの園:小金井市桜町3-7-1(都立小金井公園内)月休<042-388-1711> >トトロ家族の武蔵野探訪〜『ジブリ美術館@三鷹』奮闘記 参照 ■ まんぼう亭@武蔵小金井:小金井市貫井南町2-7-11 火休 11(日祝11:30)〜19:30 <042-385-9977> ● 武蔵小金井駅南口から南側に延びる幹線道路(府中小平線)沿い左側。歩道に面した引き違いの格子のガラス戸を開けて一段高い店内に入るとすぐ朱色のコの字型のカウンター(11席)の狭い店内。テーブルを置くスペースもない。年輩の夫婦の店のようで,無口な感じのご主人とニコニコ愛想のいいおかみさんが狭いカウンターの中にいた。看板メニューの「ミックスらーめん・950円」を注文。しっかり煮込まれたバラ肉1ヶとまん丸のバラロールチャーシュー3枚がのるのが特徴。らーめん600円との差はバラ肉1枚とチャーシュー2枚なので、肉好きな人はこれだろう。表の看板に「房州だし」と大きく描いてある通り,しっかり濃い醤油色の「魚系」のスープ。「動物系」のスープを合わせるダブルスープだそうな。どっしりしている。麺は固めの縮れの強い細めの麺で,これでかなり和風の印象になる。ライスは200円だが,キムチ付きだからありがたい(半ライスは150円)。つけめん好きの上の娘用に「つけめん・700円」を注文したのだが,細めの縮れのある麺がつけ麺としては平凡な感じで,今一歩箸が進んでいない。くっついてほぐれも悪いからか「ご飯がいい」と言って,チャーシューとバラ肉とキムチでライスを食べていた。そのつけ汁は,ゴマ油のきいたしっかり醤油色のもの。やはり和風っぽい。中にチャーシューの切片がごろごろしているのだが,刻みノリがかけられた麺の下にチャーシューが隠れていたのには思わず顔がほころんだ。メンマはけっこう多めだ。年季を感じさせるこの店のラーメン,あらゆる世代に受け入れられるためにはこういうタイプのラーメンが無難なんだと思う。若者も年輩の客も同じ割合でこの時間は店にいた。麺上げはおかみさんがしていた。 ● 時間的にも一応これで夕食の分は済んだのだが,「武蔵野のラーメン」と言うコンテンツが頭の中で出来上がっていたので,僕としてはこのまま帰るわけには行かないだろう。「都下の有名ラーメン」のページを充実させると言う使命もある(?)。黙って次の店に向かう,次はちょっと北西に向かって国分寺だ。 ■ 味太郎@国分寺:国分寺市東恋ヶ窪2-6-18 火休 11:30〜14:30/17〜23 ● 西武多摩湖線の線路沿いのマンションの1階部分に「ホープ軒仕込み中華そば」の文字が浮かび上がっている。日曜の夜7時近く,商店街からはちょっと外れた,他に店の灯りもない静かな通りなのだが,なんと店外に10人ほどの行列。ちょっとくじけそうになったが一応並んでみる。よく見ると,カウンターの客(9人ほど)もまだ食べていない。これは時間がかかりそうだ。店主1人でこの人数をこなしているようで回転が悪い。茹で時間がかかるのかなとも思ったが,入口のガラス越しに見えるカウンターの客の口に運ばれている麺は,どうも細めの麺(?)。少なくとも「ホープ軒@千駄谷」ほどの太さはない。ホープ軒系の「香月@恵比寿」の線かと思ったら,石神本(「ラーメン伝説」)をよくよく読むと,「ホープ軒本舗@吉祥寺」系らしい。もちろんこの吉祥寺の店は「ホープ軒@千駄谷」を知った後の昭和50年代後半に食べた記憶があるが,行列ほどにはインパクトがなかった。いずれにせよ,スープが背脂系なら,細めの麺ではどうも食指が動かないと,店を後にする。でもちょっと心残り。今この時代に都心から少々離れた国分寺の店とは言え、「ホープ軒」の名前を出す店にこれほどの行列ができる理由を知りたかった。「中華そば」と言う表現も気になる。これは次の宿題だろう。 ● なんとかもう一杯。先月に来た時(2001/10/08)にふられたあの店だ。 ■ 大山家@武蔵境:武蔵野市境南町5-3-16 月休 11〜翌1(日〜22) 小金井〜三鷹あたりの中央線の南側を一直線に東西に走る「連雀通り」は道幅が狭く,路駐は絶対的に無理な場所。測道はさらに狭いのだ。店の西側に駐車スペースが2台分あるがちょっと狭い。店の西側にユニクロとファミリーマートがあった。妻子は連食は無理なのでそのコンビニでお買物。「好きな物買ってこい」と言ったら子供は喜んだ。僕だけそそくさと店に向かう。正面にカウンター。左側に4人テーブル2台のシンプルな造り。水はセルフサービス。ここでは家系としては珍しい「つけ麺」が目的だ。さらにネーミングのいい「とき卵つけ麺」(800円)を奥さんらしき女性に注文(普通は750円)。冷水で締めるためか少々時間をおいて出てきた。一目でわかる麺の多さ。ラーメン用の普通の丼に8割ほど盛られている。連食ではちょっと辛い量だ。「酒井製麺」と言う印象ではないが自家製麺だろうか。ちょっとイメージが違う。「近藤家@横浜」出身というこの店,スープはまさに家系のもの。これも普通のラーメン丼に8割ほど。濃度も量も十分だ。つけ汁だから甘酸味があり,味付けもけっこう濃い。スープは温かく,肝心の「とき卵」はつけ汁に少々。1個分丸ごとというわけではないようだ。量が少ないから思ったほどスープに影響を与えるものではないようで,プラスαのお楽しみとして面白い組み合わせだ。あとキャベツが標準で入ってくるのはうれしい。濃厚なスープの合間に食べるとキャベツのさっぱり感が心地いい。さすがに麺を少々残してしまったが,普通の状態ならガシガシ食べられそうな好みの味である。今度は普通のラーメンをキャベツ追加で食べたみたい。そう思った。 ● コンビニで買った袋一杯のお菓子をうれしそうに食べていた娘達。でもこのまま帰ったのではちょっと子供たちの楽しみが少ない。そうここは三鷹に向かう連雀通り。自宅を出る前から決めていた計画があったのである。何も言わずクルマを東へ走らせる。5分ほどでその「目的地」に着いた。 ● 「はいここで降りて」ジブリ美術館の前でクルマを止めて娘達に言う。何のことかわからない妻と娘達はキョトンとしている。「あ〜っ!!」降りてびっくりする子供達。そりゃそうだ。TVでしか見たことのない「ジブリ美術館」が目の前にあるのである。もちろん,すでに閉館して明かりは街灯だけだから,入場門の鉄格子の向こうに建物がぼんやり見えるだけ。でも地元に帰れば「話のタネ」としては十分だ。門の脇の看板の前で一応記念写真を撮る。普通,東京の町中では恥ずかしいことなのだが,意外にこの通りは人通りが少ないのでこれもありなのだ。2枚目の写真を門の鉄格子の前で撮ったとき,館の前に紺色のクルマが止まっているのが目に入った。アウディのようだ。「スタッフのクルマかな」と思い,「じゃぁ帰るぞ」と言ったとき,鉄格子から名残惜しそうに中をのぞいていた娘がまたも「あ〜っ!!」と声を出した。何だろうと中を見ると鉄格子の間からチラッと見えたのはTVで何度も見たひげ面に黒眼鏡・・・そう宮崎監督が建物からひょこひょこと出てきたのである。場所が場所なんだから当たり前と言えば当たり前なのだが,予想していなかっただけに喜んだ。2,3人の若い人と一緒にまっすぐ例の紺色のクルマに向かっている。「スタッフが監督を送っていくんだろうな・・・」そう考えて一応カメラにフィルムを入れ直す。滅多にないチャンスなのだから娘達と一緒に写真でも撮ってやりたい。でもまさかクルマに乗った人を降ろすわけにも行かないから,そんな声をかけられるはずもない。だって「アイドルの追っかけ」じゃないんだもの,キャーキャー騒ぐわけにもいかないだろう。せめてクルマが出ていく一瞬に,後部座席の監督の写真でも撮ろうかなと思ったわけだ。スタッフとガードマンが鉄の門を開け始めた。息をのむ親子4人。もちろん他に人はいないのだからスタッフにちょっと怪訝そうな顔をされる(夜だもの)。クルマが出てきた。暗いから後部座席なんて見えるわけもない。一瞬諦める。そこでまたも娘が「あ〜っ!!」。後部座席を凝視していた目のピントを前方の席に合わせてびっくり。なんと宮崎監督自身がクルマを運転して出てきたのである。運転席の窓が開くのと,僕と娘の声はほぼ同時だった。 「あっ,本物だぁ〜」
それが聞こえたのか,こちらを見てにこっと笑う宮崎監督。思わず手を小さく振る妻と娘。右側から来るクルマを確認して,笑顔のまま監督のクルマが出ていった。「本物だ〜本物だ〜」。飛び上がって喜ぶ娘達。そう,トトロに逢って大喜びする「サツキ」と「メイ」のように・・・。生きているトトロには出会えるはずもないが,宮崎監督は実在する。子供達にとって宮崎監督はトトロのような存在なのだ。でも田舎の人間にとってはあまりに遠い存在。いや,東京にいたってそうそう出会えるものではないだろう。その実物に会えた。講演会とか試写会とかではなくこんな場面で会えた。そこに価値がある。クルマに戻ってからも娘達の興奮は冷めない。「すごい,すごい」の連呼。そうなると僕自身,どうにかして監督と数秒でもいいから話したかったなぁと後悔することしきり。娘達の名前の意味(>「トトロ家族」参照)を伝える,最も意義がある人が監督なのである(呆れるだろうが・・・)。「でもクルマは止められないよな〜でもなぁ〜一生に一度のチャンスだろうしなぁ〜」。その後の妻との会話はもうきりがない(笑)。それにしても,何故二人そろって「本物だぁ〜」と言ってしまったのか。それが不思議。でもこの日の3日後の水曜日,11/21深夜のTV朝日「パフィー」と言う番組。その中で「ジブリ美術館」内を使ったクイズの撮影をしていたパフィーとマックスが,偶然宮崎監督に途中で会って,挨拶をしてその場を通り過ぎた後に,「本物だぁ〜本物だぁ〜」と喜んで駆け回っていた。そう,天下の芸能人でも会えて嬉しい「時の人」なのである。僕や娘が大騒ぎするのは当然のことなのだ。「あのとき監督は,さつきやももたちだけを見ていたんだよ〜」。もうそう言うことだけ繰り返し言って帰った。娘達に贈れた最高の思い出。毎週のように東京にラーメン食べ歩きに出てきていた甲斐があったと言うものだ(笑)。
>この話の前後の経緯は「トトロ家族の武蔵野探訪〜『ジブリ美術館@三鷹』奮闘記」参照 ● そのまま青梅街道経由で新宿へ。首都高に乗って渋滞に遭うのはイヤなので,新宿から青山を抜ける。霞ヶ関ランプから首都高へ。例の如く芝公園の先の右カーブから,一瞬見えるお台場の夜景を堪能しながら,湾岸線へ。今日はことのほかレインボーブリッジから見える東京湾側の夜景がきれいだった。もちろんお台場側も。順調に常磐道を飛ばし,霞ヶ関から丁度1時間半で自宅についた。便利な時代になったものである。
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■ 11月11日(日)勢得@町屋/砦@渋谷/二郎@仙川/一蘭@六本木
● 今日は単独行動の週。10時半にそそくさと自宅出発。カーナビのデータを編集しながら(登録した地点にラーメン店の名前を入れるだけだが)運転してたら東京までたどり着いてしまった(笑)。 ■ 勢得@町屋:荒川区荒川6-2-7 月休 11:30〜15/17〜21 ● 地下鉄千代田線町田駅すぐそばのにぎやかな場所にあるこの店,奥に深い店は手前にテーブル4台。奥の調理場を囲むように角を取ったL字型のカウンター9席ほど。日曜の午後2時過ぎで店はきっちり満席。ちょうど空いたカウンターの右奥の席に座る。ここは背中に壁があってらくちんだ(笑)。店前の看板におすすめと書いてあったつけめん650円を注文する。大盛りは100円増し。メニューはシンプルで,あとはラーメン(600円)とチャーシューメン(800円)のみ。トイレの奥に空間があって粉が散らばっているから,どうやら自家製麺のようだ。メニューにも赤字で「自家製中華そば」と記されている。若夫婦2人で営業している店のようで,まさに「黙々と」仕事をしている。奥さんは静か(声が枯れている?元気がないとも言える)で,満席の割にちょっと異様な静けさがある。レジ脇の壁にネットの面々の色紙が並ぶのには微笑んでしまった。一般の人にはその意味がわからないものだろうが,若い店主はその意味をよくわかっているのだろう。先日NTV「ホンの昼飯前」の「荒川区ベスト5」で見事1位になっていたもの。茹で時間の関係か回転はちょっと緩慢。着席時は,ほとんどが待ち客だった。十分に店内を観察し終わった頃,やっと僕の分が出来上がる。切立のドンブリに『ピカピカの山盛の太麺』。もう見ただけでそそられるまん丸の断面の中太麺。食べてみればアゴが疲れるくらいコシがある。束になると唇で噛み切ることは難しいくらい。量は多め。一方,つけ汁にはのりとナルトとしっかりした肩ロースチャーシューが浸る。こちらは量は少な目だ。味はどっしりしたとんこつ魚介系。甘辛で系統的には「東池袋大勝軒」スタイル。この手のスタイルは飽きられることはないから,場所的に言ってもこの先どんどん行列店になることだろう。うるさそうな年輩者の客が多いことからもそれはわかる。一時の流行では終わらない落ち着きというか「風格」がある。前回は夕方には売り切れで閉店していたから,休日とかの営業時間は実質上昼のみになるのかもしれない。クルマの場合ミニパトに注意。路上駐車には厳しい。前の道をぐるぐるまわっていたもの。 ● 早くも今日の目的の半分を達成してしまった。暇つぶしに久々に秋葉原へ。じゃんがらあたりの裏通りをふらつくのが好きだ。露店のような店でたまに掘り出し物があったりする。今日は「ロータススーパーオフィス2000」のCD-ROMをなんと500円で購入。僕は仕事で毎日表計算ソフトを使うのだが,今でも「ロータス1・2・3」でなければどうもダメなのだ。しかもウインドウズ95時代のバージョンのもの。エクセル2000もインストールされているのだがどうにも使いづらくて・・・。と言うわけでここまで来た甲斐があったと言うもの(笑)。次なる店を目指す。 ■ 麺の坊 砦@渋谷:神泉町20-23 休日未定 11〜23<03-3780-4450> ● 「ラーメン博物館」の創立時からの人気店だった「一風堂」の元店長の新店と聞いている。渋谷の西部,富ヶ谷からなら山手通から旧山手通に入ってすぐ左側にある。しかし駅からは遠く(井の頭線「神泉」駅からは近いが・・・),クルマの場合もちょうど高架下の場所で地形が複雑だったりするから,かなりな回数この場所を通っているにもかかわらず地理的にピンと来なかった場所だ。一等地だろうが商売には(特にラーメン店には)むかない場所のような気もする。店は新品。キラキラしている。入口脇の地面にずらっと並べられた,有名人の花輪の小さな名札(ラーメン関係のだが)が目を引く。店内も今風にデザインされた落ち着いた店内。綺麗で高級感がある。右に大きなカウンター。左手前が4人テーブル席で奥が大テーブル。日曜の夕方のこの時間で先客はなく,一時客は広い店内に僕1人になってしまう。若い店員が4人で無駄話はないから,僕1人のオーダーで動くのを「感じる」のはちょっと緊張する。応対は丁寧(店員同士もそう)で接客術は徹底している感じだから,その分博多っぽい元気さがないかなとも感じる。らぁめんもそう。「砦らぁめん」700円を注文したのだが(肉増し900円・のり半熟玉子850円・肉もやし850円),きれいなどんぶりに臭みのないトンコツスープ。旨味は十分だが粘度はさほど強くはなく,どちらかといえばサラッとしている。「一風堂@恵比寿」で言えば元味と新味の中間のような印象(もっとも新味を食べたのはかなり前の開店時の話だが)。麺は綺麗な極細麺だが,何故か太麺もあるようで,注文毎にどちらにするか確認される。具はチャーシューに茹でモヤシとキクラゲ。それに普通の刻みネギ。全体的にばたくささはなく,ワイルドさもない。博多ラーメンとは言っていないのだから,こういうラーメンだと思えばいいのだろう。神泉という場所に合わせて大人っぽく落ち着いた線を狙っているのかな。東京の人向けのクセのないトンコツラーメンと言うことかもしれないが,どっちつかずにならなければいいが・・・。卓上にはお決まりの紅ショウガに辛し高菜。「ラーメンだし」と書かれた「タレ」もある。試しに一口飲んでみたら独特のしょっぱさだ。サイドメニューとしてフリカケ付きのふっくらごはんが200円でおかわり自由。おにぎりも200円。替玉は150円。帰り道に見たらカウンター席は満席になっていた。 ● 渋滞の中,山手通りを北上。行き先は池袋。例の如く「AMLUX@池袋」で暇つぶし。いつも同じパターンで芸がないが,他に目的もないからしょうがない。新宿まで戻り甲州街道を西へ。最近必ずコースに入る「二郎」系の店である。 ■ 二郎@仙川:調布市仙川町1-10-7 月休 17:30〜23:30(材料切れ終了) ● 京王線仙川駅から近いが,店自体は線路沿いを西に向かった商店の列のはずれ。その先は静かな住宅街で,目的なくうっかり通るような場所ではない。通行人すべてがこの店で止まるような感じで,こんな場所に行列ができている。入口のガラスに貼ってある貼り紙の指示通り,隣の店にはみ出さないように店の幅でUターンして並ぶ。最終的には10人ほど店外に並んでいただろうか。ガラス越しに見える先客の家族3人連れ。きれいな奥さんと娘さんが髪を後ろに縛って見事な食べっぷり。頼もしいくらい。「二郎はこうじゃなくっちゃね」と見入っている間に順番が来た。入口脇の券売機でラーメン(500円)の食券を購入。普通は「小」と言うことになるようだ。カウンターのみの狭い店。その奥の席へ。水はセルフサービス。狭いカウンター内の調理場には,メガネがずり落ち鼻メガネになった線の細い店主。二郎系の店では珍しいタイプだ。年齢は不詳。その店主の趣味だろうか,BGMは懐かしアイドルソング。榊原郁恵とか井森美幸とか郷ひろみとか・・・それが低い音で静かに流れているから独特の雰囲気がある。丁寧にゆで汁で丼を暖めているのが見える。「ハイ」とカウンター上に置かれたラーメンは確かに「二郎」。珍しくレンゲが置いてあるのでまずスープを一口。味は濃いがタレは薄い感じ。脂は二郎としてはかなりすくなめだ。麺は二郎そのもの。自家製麺のようで,ちょっとやソッとじゃのびないのだろう。茹で上がった麺がスープに入ってから出てくるまでにけっこう時間がかかったが,のびた感じはしなかったもの。野菜はキャベツが多めでかなりいい感じ。二郎の野菜は味のない単純な茹で野菜ばかりだが,このキャベツなら甘味があって味がある。次は野菜増しもいいかも。全体として麺の量はたしかに少ないが,今日の僕には丁度いい感じ。好きなら「大」を頼めばいいのだ。他の店では(特に本店では)なかなか経験できない「大」の注文だし(笑)。それにしてもこの場所で二郎を楽しめる。マニアでなくともありがたい。行列するのも納得である。また行きたい店だ。連食でもここならラクである。 ● 甲州街道で再び都心へ。新宿で暇を潰し,満を持して最後の目的地に向かう。 ■ 一蘭@六本木:港区六本木4-11-11六本木411ビル2F 年中無休 24時間営業 ● 本店は博多にあり、初の東京進出(2001/10/19)1号店と言うことになるが,実は一昨年,家族4人ではるばる博多まで行きながらその博多店(たぶん天神店)のあまりの行列にくじけてしまい(「西日本横断ラーメン強行軍」参照),以後,ずっとそのことを悔んでいた店。初めてあの「一蘭」を味わえると思うだけで,ホッとする。やっとその後悔から解放される。青山から乃木坂を過ぎて六本木へ。急に華やかなネオンと雑踏ででにぎやかになる。六本木交差点の北側で,大江戸線六本木駅から地上に出てすぐの場所。コンビニampmの2F。古い世代には「大八」で懐かしい一帯だ。ちょっと頼りなげな(仮設階段のような)階段を上り2階へ。いきなり券売機がありそこで食券を買う。基本となるラーメンは750円。場所柄とは言えちょっと高い。店そのものは思ったより狭い印象。と言うか,目の前はいきなり壁で,客席が3列に分かれ,各々も壁できっちり縦に仕切られている。その各入口がトンネル状。予備知識がないと実にあやしげで異様な雰囲気だ。入口に各席の番号が描かれた電光板。空席になるとその番号が点灯する仕組みで,その指示に従って各列の空席の一番奥に詰めて着席するシステム。今日は待ち時間ゼロで着席。開店当初(10/19)は行列だったと聞いていたが,流石に日曜のこの時間ではこんなものだろう。入口のガイドでは45秒に1人着席できる計算だそうだ。つまり20人なら15分待ちと言う計算になる?。さてその席自体は,隣の席との間が板壁で仕切られていて,肩幅プラスαの幅。正面は赤いノレンが下がるから店員の手先しか見えない(つまりこちらの顔も向こうから見えない)。置いてある紙に好み(味の濃さ・こってり度・にんにく・ねぎ・タレの量・麺のかたさ)を細かく○で記入して前のボタンを押すと店員が来るシステム。これで声を出さずに注文でき,かつ周囲を気にせず食べられると言うことになる。さらにラーメンが運ばれると目の前に簾のようなシャッターが下ろされ,完璧な個室?が完成するわけだ。博多の図書館の自習室からヒントを得たそうだ。食べることに「没頭できる」と言うが・・・。ラーメン自体は赤唐子が真ん中に浮いているのが特徴的。けっこう茶渇色のスープはそこそこねっとり。うまみがドンときて,しょっぱさはあまりない。麺は自家製生麺。お冷やの注ぎ口も各席についていて,これはかなり便利。どこかにカメラでもあって空席を確認しているのかなと思ったが,どうやらテーブル下にセンサーがあるようだ。最初から最後まで実に合理的だが,ハイテクと言うわけでもないからどこか日本的。「カラクリ人形」のような和風オートメーションの雰囲気。どこか微笑ましい。話のタネに持ってこいだが,子連れはどうするのかな???。箸袋に追加注文のメニューが記されている。替玉150円・半替玉100円・ねぎ(4倍量)100円・チャーシュー3枚150円・きくらげ100円・めし200円・脂解美茶200円・ラムネ200円等々。これも箸袋の項目に○をつけてボタンを押し店員に差し出すだけ。声を出す必要はない。徹底しているなぁ・・・。誰かを連れてきたい,そんな店。問題はその値段かな。 ● ここまで食べられればもう思い残すことはない(当たり前?)。満足して帰途につく。
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■ 11月03日(祝)ZUNDO BAR@厚木/いまむら@横浜
「ZUNDO BAR@厚木」のコンセプトには納得するしかないだろう
● 下の娘の「七五三」等々で10月末は2週間続けて遠出ができなかった。久々の祝日でしかも「連休」。しかし,明日(日曜)は明日で上の娘の都合があり(最近はいつもこうだ),今日が家族全部の都合がいい日と言うことに。朝の内,少々仕事をこなして,10時半過ぎにそそくさと自宅を出る。妻との話し合いで行き先は『箱根』。時期的にどうなのかはわからないのに,一応「紅葉を見る」と言う名目だ(笑)。常磐高速で東京を目指す。が,三郷インターから先が大渋滞。天気も崩れてきたので「紅葉の箱根」にくじけそうになるが,この先仕事も忙しくなる(日曜でも早い時間の出発が難しくなる)からと,そのまま東名高速へ。目指すは最近マスコミで話題の店「ZUNDO BAR@厚木」。本当は「東京1週間」(2001/10/16号)で『裏湘南の超こだわりの店BEST3』として共に掲載されていた「勇次@町田」(町田市金井2-3-25 無休 11〜15・もう一軒は「隠國@愛川」)に寄ってから行こうなどと考えていたのだが,どちらも営業時間が15時までなのでそれも無理。箱根に近い厚木へ。都内の渋滞でもう1時を過ぎてしまった。いずれにせよ急がねばならない。 ■ 「ZUNDO BAR@厚木」 :厚木市七沢1954-7 水&2・4木休 11〜15(夜の営業はまだ始まっていない・電話で確認) ● 厚木市郊外の温泉地にある。かなりわかりづらい場所にあるが,谷川(「玉川」)を目印に川を左手に見て上流に向かったらあっさり見つかった。でもホッとしたのもつかの間,なんと雨の中外に人がずらっと並んでる・・・。建物左手の入口と,川沿いに置いた縁台の待ち客の間を抜けて奥の駐車場へ。一団奥のスペースを含めるとかなり広い。玄関脇の用紙にファミレスのように名前と人数をまず書き込み,改めて雨の中,外に並ぶ。2時過ぎのこの時間で待ち客は20人程か。外観は中途半端に古い旅館の形態。しかもその外壁をそのまま黒く塗ってある。一見お手軽な感じがしたが,実はそうでもなかった。30分ほどで入店したのだが,外観は普通の2階建てなのに,内部は骨組(梁)だけ残して天井を抜いてあるので,上方向に広々としている。ただ,柱も梁も真っ黒で窓もなく(カーテン締め切り),しかも,壁際のテーブルも中央のテーブルもみなステンレス製(本来これは調理台と言うべきかも)。異様な空間である。極めつけはその丼。なんとこれもステンレス。もうここまででも話題的には十分である。映画「ブレードランナー」に出てきそうな近未来の日本のラーメン店の解釈か。スタッフは若者ばかりで,その応対がファミレス的な丁寧さだったりするから,その無機質な感じと,実際にそこで注文するのが「ラーメン」だと言うことの落差に,少し頭が混乱しそうだ。でもなんかワクワクしてくる。メニューは実にシンプル。麺の種類は「ちーゆーらーめん」(750円)と「しお」(700円)だけで,トッピングとして「味玉」(100円)「レッドホット」(100円)があるだけ。麺を各2杯ずつ,それぞれにトッピングして計4杯注文。回転がいいので程なく運ばれてきた。ステンレスのレンゲでスープを一口。基本的に煮干し系だが,それに豚骨&鶏ガラだから,もっと深みのあるインパクトある味。しおのほうが煮干しが明快に感じられる。麺は歯切れのいいストレート麺。この組み合わせなら,普通の形態の店で食べたとしても,かなり上等だろう。「具」は,最初から別盛りで,四角いステンレスの容器に入れられ出てくる,茹でキャベツに半熟味玉,メンマ&チャーシューの切片に,底の方にはなんと一口分ののライスまで。これはかなり珍しい「具」だ。娘達に喜んでもらおうと,デザートとして「三種類のシャーベット」(450円)も注文。桃・青リンゴ・ブルーベリーのシャーベット。もちろん量は少ないが,スッキリしていてこの店にはぴったりだ。もうひとつのデザート(名前忘れた)は,個数限定ですでに売り切れ。冷水は普通の緑色のビンで運ばれてきてテーブルの上にどんと置かれる。これもお洒落。あとこの店,消費税を取らない。内税と言うことなのだが,高めの値段設定で会計時にしっかり消費税までとられては,家族連れの場合たまったものではない。地方の店ではよくあるのだ。それにしても雨の中のこの混雑,その原因の一部にしっかりなっている我が家としては,「わざわざ茨城から来るなよな〜」なんて近場の人からヒンシュクを買いそうだ。でも,こんな場所では東京や神奈川県内から来る人でも同じこと。ちょっとした時間の差でしかない。そもそもこの店自体そう言う客層をあてにしているのである。個人経営のラーメン店としては異様に広い駐車場なんかその証拠だ。クルマでなければちょっとアクセスは難しい。まさにそう言う場所なのである。でもわざわざ行く価値はある。これからのラーメン店のあり方の一つの答がここにある。場所なんか関係ないのだ。大切なのはそのコンセプト。この店をプロデュースしたという「中村屋@大和」の若き店主のセンスに,ただただ感服するのみである。 ● 「わざわざ茨城から・・・」と言えばここで一言,言わせてもらいたい。そもそもインターネットのこの時代,実際に住んでる場所なんてあまり意味がないのだ。情報はどこにでも均等にある。東京近郊にすべて高速道路がつながった現在では,実際のアクセスは,都内も都下も近県も大差ない。事実,日曜の夜には都心から1時間半弱で茨城河北部の自宅に到着するから,学生時代,世田谷区上用賀の自宅から新玉川線〜山手線〜中央線と乗り継いでお茶の水まで1時間かけて通っていたのと大差ない。何が言いたいのかというと,休日に東京の人が地方にせっせと行き,「自然はいいよなぁ〜」とつぶやき「地元の名産品に舌鼓を打つ」のは「素敵なレジャー」で,その逆は「おのぼりのイナカモンがわざわざ・・・」などと言われたりするのは,住んでる場所以外は何の取り柄もない一部の「勘違い人種」が,自分の論理の愚かさを広くさらけ出しているようなものだ。議論に息詰まった時,バカな人間が最後に口にするのは決まって地域差別(出身地or居住地の侮蔑?)なのである。そう言う展開になればひたすらあきれて苦笑するしかないのだ・・・って僕はいったい誰に対して怒っているのだろう??。 ● 雨も強くなってきた。空も薄暗い。ますます「紅葉」が遠のいていく。でもこれで東京に帰るのはもったいない。妻との現場会議の結果,同じく「東京1週間」(2001/10/16号)で『3大アウトレット温泉』として紹介されていた『御殿場プレミアム・アウトレット』へ向かうことにする。伊勢原の町中を抜け,秦野中井インターから東名へ・・・乗ったつもりが何故か上り線に乗ってしまい厚木インターまで戻ることに(汗)。またもくじけそうになったが,この雨の中ほかにあてもないので再び厚木インターから御殿場に向かう(上り線はもう渋滞していたし)。往復1100円の高速代と,七沢〜秦野の時間を考えると1時間近い時間をロス。でもまぁしょうがない。「ZUNDO BAR」で食べられたから,僕的には本日の目的の半分は達成していたし(笑)。 ■ プレミアムアウトレット@御殿場:御殿場市深沢1312 無休 10〜20(季節により変動) <0550-81-3122> ● 東名御殿場インターそばに昔からあった「御殿場ファミリーランド」の跡地にできた(たぶん)この施設,インターを出てすぐに「駐車場は満車」の立て看板があってくじけそうになったが,実際は入口に向かう高速沿いの道は渋滞していたものの,一番奥の駐車場はまだ余裕があった。駐車場は3500台だもの。中央の長い橋を挟み,東西に分けられたエリアはすべて有名ブランドのアウトレット店。メルローズ・ベネトン・ブルックスブラザーズからギャップ・ナイキ・アディダス等々・・・。もちろん,ブランドものに全く興味がない我が家(ユニクロで十分だし)にとってはあまり意味がない施設なのだが,そろそろファッションに興味を持ち出した上の娘の勉強のためである。「高い服は何故高いのか,そして何故それがこうして安くなってしまうのか」しっかり社会勉強してもらうためなのだ(笑)。家族の夕食は施設内唯一の「フードバザール」。1人あたり1000円くらいかかる和洋中のセルフサービスの店なのだが(他に選択肢がない),味的には期待しようもない。でも御殿場〜箱根にラーメン情報も聞いたことないので仕方ないのだ。結局,閉館(7時に店が閉まり始めた・冬期は19時までのようだ)までウロウロして何を買ったかというと,「無印良品」の女性物と子供物を少々。やっぱり我が家は典型的なユニクロ家族なのである。 ● ここから東京へは御殿場インターから東名で行くのがもちろん近いのだが,休日は厚木の手前で必ず大渋滞になる。だから御殿場からでも箱根の町中を抜けて小田原へ向かうのが我が家の定番。だいたい須雲川沿い・湯元茶屋の「雲遊天山露天風呂」に寄るのが恒例なのだが,本日は下の娘が眼科に通院中なので入浴不可。紅葉を「感じながら」通り過ぎるだけとなる。この近辺で簡単に「立ち寄り湯」を楽しみたいなら「ごてんば市温泉会館」(御殿場市深沢2160-1 月休 10〜19:30 500円<0550-83-3303>)や「宮城野温泉会館」(箱根町宮城野922 木休 10〜21 600円<0460-2-1800>)なんておすすめである。銭湯気分で軽く温泉を楽しめる。クルマはそのまま小田原厚木道路へ。この道に乗ったらウインダムヒルのギター曲集「響」を聴くのが結婚以来の我が家の約束事である。毎年こういうことを繰り返してもう10年以上が過ぎた。そんな風に夫婦で感傷にひたりつつも,実際考えているのは「仕上げの一杯」なのだが・・・。横浜インターから保土ヶ谷バイパス(高速のようだが無料)経由で横横道路・別所インターまで。土地勘がないのでカーナビがあっても分岐点ではヒヤヒヤものだが,なんとか電話で指定された「21時30分前」に無事たどり着いた。 ■ 「いまむら@横浜」:横浜市港南区上大岡東2-42-14 月休 11:30〜15/17〜22 ● 京浜急行本線上大岡駅南側の線路沿いにあり,クルマの場合,幹線道路からその店の前の道に出るのがちょっとわかりづらい場所にある。歩道から一段上がって引き戸を開けると,店内は和風の居酒屋っぽい雰囲気。この時間(21:30)では行列はなく,店内も先客が2組ほど。以前,ここの若い主人がTV番組の中で「中村屋@大和」と並ぶ若手ホープとして紹介されているのを見たことがあって,それ以来ずっと気になっていた。その中では,次々と新しいメニューに挑戦する「悩める若き店主」的な取り上げられ方をしていたが,案の定「週刊現代・最強のラーメン300軒」に掲載されていた「特製鮪旨みそば」なぞはすでに跡形もなくメニューから消えていて,メインは「貞光地鶏と魚介の醤油味らーめん」で680円。これが「特製」になるとチャーシュー大盛りに味付玉子がついて880円になる。あと「麗しの塩味らーめん」は700円。「魚介だしたっぷりのつけそば」なんてのもある(700円)。妻と二人でどう組み合わせるか少々迷ったが,妻が「醤油」で僕が「つけそば」と言うところで落ち着く。つけそばで麺の感じをつかんで,あわよくば「塩味」を追加注文しようと思ったのだ。が,甘かった。つけそばのは麺はらーめんとと同じ丼に山盛りになって出てきた。1.5玉どころろか,2玉あるのではないか?と言う量。麺はタマゴ色の中細麺。水で締められた分さらにコシがあって食べるのが楽しくなるタイプ。つけ汁は見た目醤油色だが,醤油らーめんを食べていた妻が僕のつけ汁を味見して一言「これ辛味噌?」。たしかにらーめんのスープを飲んだ後では「味噌」も感じるのだ。隠し味なのかな。妻の「貞光地鶏と魚介」のらーめんのスープはあっさりしているけど,軽く油が浮き,壁に貼られたコピー通り「コクときれ」がある。「青葉@中野」のイメージで作ったという「鮪旨み」を期待していた僕としては少々拍子抜けしたが,妻はこちらの方を気に入ったようだ。具のみつばと焦げ目のついたチャーシューにもこだわりを感じる。トロ豚飯(380円)とかチャーシュー飯(350円)と言ったサイドメニューも充実していた。次に来る時はどんなメニュー構成になっているのだろう。色々な意味で楽しみな店である。でも気に入ったメニューが次にはなくなっているとしたら,それは店にとって有利なのか不利なのか難しいところではある。 ● さすがにもう一杯は無理だ。いつも横浜では,帰り道に道に迷いさんざんな思いをする。いつも思うのだが,「横浜」と言う町自体起伏のある複雑な地形の土地に無理矢理住宅地を詰め込んだと言う印象がある。道が不定型でかつ狭いのだのだ。なんとか本牧インターまでたどり着き,強い雨の中,ベイブリッジ〜湾岸線経由で自宅にたどり着く。 ● 実は,翌日の11/4にはここ20年近く恒例になっている『東京モーターショー』に行く予定だったのだが,朝から風邪でダウン。目眩がして立ってられないのだ。貴重な休日を寝て過ごし,悔しいことこの上なし。それからの1週間はストレスがたまってしょうがなかった。