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トトロ家族の武蔵野探訪〜『ジブリ美術館@三鷹』奮闘記(2001/11)

何を隠そう,我が家は「トトロ家族」なのである

近くて遠い「ジブリ美術館」

「江戸東京たてもの園@小金井」と武蔵野のラーメン

なんとあの宮崎駿監督に突然遭遇

いざ行かん,憧れの「ジブリ美術館@三鷹」

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 何を隠そう,我が家は『トトロ家族』なのである
小4と小1の娘のいる我が家,世間一般のご多分にもれず「ジブリ映画」が好きなのである。「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「もののけ姫」・・・中でも「となりのトトロ」は我が家の定番なのである。そう我が家は「トトロ家族」。どれくらいそうかと言うと,今年10才になった上の娘に「となりのトトロ」の主人公「サツキ」のようになってもらおうと「さつき」(実際は漢字)と言う名前をつけてしまったくらいなのだ(5月生まれと言うこともあったが・・・)。おまけに3年後に生まれた下の娘の名も,「トトロ」の中の「サツキ」の妹が「メイ」だからと・・・イヤ,さすがに「メイ」と言う名前はつけられないので,同じマ行で2文字と言うことで「もも」(これも実際は漢字)とつけてしまったのである。娘2人の4人家族,目指すは「となりのトトロ」のような「ほのぼの一家」。実際,緑に囲まれて暮らしているし,近所は自然がいっぱい(田舎だからだが・笑)。おまけに海のすぐそば。違うことと言ったら「サツキ」の「おかあさん」が,実際は映画のように病弱ではないと言うことくらいか(笑)。あと「おとうさん」が細身ではないと言うことかな。この点,むしろ「千と千尋の神隠し」の千尋の両親が,体型的にぴったり。あの夫婦のバランスにとてもよく似ている。だから不思議の町の料理店で,両親が二人並んでカウンターで料理を食べ過ぎて豚になってしまった場面などは,「これはラーメンを食べている我が夫婦の姿ではないか」と身につまされたくらいだ。映画を見終わって下の娘に「パパとママは豚にならないでね」と言われた時は思わず苦笑い。大丈夫,今のところはね。
断っておくが僕自身は「アニメ好き」と言うわけではない。ごくごく普通に「鉄腕アトム」「鉄人28号」で物心がついて,「巨人の星」「あしたのジョー」で小学時代を過ごした世代。でも高校時代の「銀河鉄道999」にはさほど興味も湧かず,以後アニメからはずっと遠ざかって行った程度。でも30才近くになって観た(ビデオだが)「ナウシカ」「ラピュタ」に感激し,以後子供の成長に合わせるようにジブリ作品を見続けてきた。何故この年齢で心惹かれるのか?その答を最近見つけた。ローソンのサイトに「宮崎駿・漫画映画の系譜」と言うページがある。それを見てもらうとわかるのだが,宮崎監督はかなり古い時代からアニメに関わっているのである。「ルパン三世」あたりはすでに有名な話だが,実際は昭和40年代からもっとマイナーな作品を作っている。例えば「少年忍者風のフジ丸」「ハッスルパンチ」果ては「侍ジャイアンツ」まで。妻の世代はもっとそう。「魔法使いサリー」「ひみつのアッコちゃん」から「アルプスの少女ハイジ」「フランダースの犬」・・・こう言った記憶の片隅に残っているアニメの題名が出た時,誰もが顔をほころばせる(僕の場合,これに「狼少年ケン」とか「宇宙少年ソラン」とか加われば感動もの)。心は小学校低学年に戻ってしまう。そう言う記憶を呼び戻す要素が一連のジブリ作品にはあると思うのだ。年齢を重ね現実を知っても,子供たちには夢を見て欲しい・・・つまり宮崎アニメを観て育った世代が親になって子供と一緒にジブリ作品を見続けているわけだ。ヒットするのも当たり前。映画館は子供だけではなかなか行けないもの。
我が家は8mmビデオにダビングしたアニメを,クルマのカップホルダーにネジ止めしたシャープの古いビデオカメラ・液晶ビューカム(初代のもの)で子供たちに見せてきた。そうして無茶な遠出(>「家族の旅日記」参照)でも飽きさせないようにしてきたわけだ。でも,先日のTV番組で見たのだが,宮崎監督自身は子供たちにジブリの作品を「ビデオとかTVとかで繰り返し見せる」ことには否定的な考えのようだ。やはり映画館のような薄暗い空間の大きな画面で,「なんだかよくわからない,けどきれいなものを観た」と言う「記憶」を子供たちに残すことが大切だと言っていた。たしかに小学生の頃,年に何回かあった学校の映画鑑賞会。図書室の床に直接座って観るお手軽なものだが,すごくワクワクして観ていたことを覚えている。題名も内容も忘れたのに,その時の「感情」を今も忘れられないでいる。当時の上映作品を調べたいくらいだ。あれもひょっとしたら宮崎作品だったのかもしれない。そんなわけで我が家としては珍しく,9/16に家族で「千と千尋の神隠し」を観に行ったのだが,娘達は大喜びしていた。内容はもちろんだが,そうして家族みんなで観たことがうれしかったようだ。
日本のアニメと言えば手塚治虫と言うことになるのだろうが,その続編が期待できない以上,宮崎アニメがこれからの日本のアニメの代表になっていくだろう。この先何年経ってもその作品は色あせない。そう,日本の「ウォルト・ディズニー」は宮崎駿監督なのだ。
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 近くて遠い「ジブリ美術館@三鷹」
そんなわけだから「ジブリ作品」のイメージの屋外施設ができると言う情報を昨年知った時は喜んだ。これは我が家の場合,たとえどこにできても行かねばなるまい。当時,開設はかなり先だろうと予想していたのだが,意外に早く工事は進み,この9月末に開館。屋上には雑草の生えた土の地面に「ラピュタ」の巨大な『まもり神』があると言うし,大きな『猫バス』に実際入って遊べる部屋もあるという。下の娘が生まれた時に2万円以上した「猫バス」のぬいぐるみまで買ってしまった我が家だもの,もっと立体的にジブリがいっぱいの中で遊べるなら娘達にとって夢のようなことである。ただその場所を聞いてびっくりした。吉祥寺の井の頭公園の南側?そんな空間あそこにあったのか??学生時代からこの公園には何度か行ったことがあるが,吉祥寺駅にかなり近く,公園の北側(駅側)の道は,クルマでは必ず渋滞に巻き込まれた印象しかない。クルマでのアクセスは難しそうだ。
いずれにせよ,その紹介番組をTVで観て以来,娘達は大騒ぎ。「千と千尋の神隠し」を観てからはそれがさらに加速。下の娘など,目を潤ませて「今度連れて行って欲しいの・・・」などと,ことあるごとに言うのだから,たまったものではない。もちろん開館当初の10月中はさすがに混むだろうから,少し落ち着いた年末にでも行けるかなと,例の如く日曜に上京した時に,「三鷹の森・ジブリ美術館」の下見をしたりした。入念に駐車場や周辺の道路を調べたりしていたのである(食べ歩き日記「2001/10/08」参照)。実際,公園の南側で緑は多いものの,向かい側(西側)は当然のことながら普通の住宅街&商店街である。駐車場は公園との間に公営駐車場が1つ(20台くらいだろうか),南側にコインパーキングが1つ(10台くらいか)。かなり時間に余裕を持って行かないと駐車場の確保は難しそうだ。美術館自体には駐車場はないのである。そして一番の問題はそもそもこの施設,チケットはローソンでの予約販売のみで,しかも期日&時間指定で購入すれば払い戻しができないこと。茨城からで,しかも仕事の関係で休日の出発時間に不確定要素が多い我が家では,よほど計画を立てて行かないと無理がある。
11月に入ってそろそろ目星をつけようかと,思い出しては指定の電話番号(「チケット購入」参照)に電話をかけてみるのだが,相変わらずローソンへ・チケットへの電話はまるでつながらない・・・。そんな中,ふと久々にローソンのサイトを見たら「チケット販売状況」の項が。さっそく見てみてびっくり。予約は12月まで完売なのである。平日まで完売なのだから末恐ろしい。考えてみれば「千と千尋の神隠し」があれほどのヒットをしたのだから,昔からのファンも含めて美術館に行こうというファンが巨大化するのは当然と言えば当然。9月に秋田に行った時(>「2001東北横断・賢治と芭蕉とラーメンの旅」参照)も,秋田のローソンにまで大きくジブリ美術館のポスターが貼ってあったから,もはやディズニーランド〜ディズニーシーレベルの全国的レジャー施設なのだろう。来年の1〜3月分は11/20AM10:00に販売開始と言う。どうしたものか。そんな先の予定なんて普通立てられない・・・。そんな中,DMで千と千尋の神隠しの不思議の町のモデルになった「江戸東京たてもの園」の情報をいただく。両国の「江戸東京博物館」に行った時(2000/06/04『江戸東京博物館@両国』参照)に「江戸東京たてもの園」の存在は知っていたのだが,そう言えば「千と千尋の神隠し」の制作発表もこの公園で行われていた。これはまず娘達にここを見せて,とりあえず時間を稼ぐという手を思いつく。
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 「江戸東京たてもの園@小金井」と武蔵野のラーメン(2001/11/18

サニー@西東京/まんぼう亭@小金井/大山家@武蔵野

風邪気味の妻を無理矢理誘って(1人で娘2人連れて東京へは行けない),10時半に自宅を出る。常磐高速で東京へ。三郷から外環自動車道へ入ればまず渋滞はない。大泉インターまであっという間についた。もちろんラーメンを忘れてはいけない。大泉と小金井を結ぶ中間にちょうどいい店があった。大勝軒系の「サニー@ひばりヶ丘」。時間的にも距離的にも丁度いい。でも,ここまでの道が難解だった。
サニー@西東京:西東京市ひばりヶ丘3-2-4 11:30〜19:30(スープ切れ終了) <0424-24-3214>
およそラーメン店らしくない名前だが、元々は喫茶店だそうで大勝軒で修行したのちに開店したそうな。西武池袋線ひばりヶ丘北口を出て右側に歩いてすぐと言う位置関係だが、クルマの場合,外環を降りて大泉学園〜保谷方面からだと駅北側のこの一帯へはかなり狭い入りくんだ道を走らせられることになる。カーナビがあっても苦労した。偶然見つけた北側の銀行(信金?)の駐車場(コインパーキング・日祝20分100円)へ。店に駐車場もあるようだが(2台)わからなかった。その名も「サニービル」と言うビルの1F部分角が店。外観は茶色い壁の落ち着いた感じ。およそ「サニー」と言うイメージではないが、看板に「特製もりそば」と描かれているからわかりやすいだろう。明るい店内は右に広めの調理場を囲む高めのカウンター(13席)左の窓側にテーブルが2台。もちろん満席で入口脇に並んで待つこと暫し。この店のメインとなる「中華つけめん」(もりそば)はなんと麺330g(650円)。温も同じ。女性用か「小」途言うのもあるがそれでも230gだからまだ多い(600円)。ちなみに「大」もあり500gで800円。ただし「1人で食べられる方」と言う条件があるから注意が必要。こうなると小1の小柄な娘のいる我が家としては注文が難しいが、普通で330gなら普通の店の「大盛り」だろう。つけ麺2つにラーメン(280g/630円)を1つ注文。言わなくても子供用の器が出てきたのはうれしい。大勝軒の店には珍しく「みそラーメン」もあった(730円)。最初からチャーシュー・メンマ・ナルト・茹で玉子の入った「大勝軒スタイル」のつけ汁は甘酸味。辛味はあまりなく,全体としてはライトな印象。麺にからみつくような感じはあまりなく、大勝軒フリークから見れば「薄い?」と言われそうだが,このくらいが一般受けするのかもしれない。麺はまん丸ではなく,角のある白い麺。大勝軒系独特のもちっとした感じは少なくこれも一般受けする感じか。線路の南側に出てからは普通の道になった。予定通り小金井に向かう。
江戸東京たてもの園:小金井市桜町3-7-1(都立小金井公園内)月休<042-388-1711>
大人400円・都外小中高生200円(都内在住・在学の小中学生は無料)
1993年(平成5年)に「江戸東京博物館@両国」の分館として建設されたもの。敷地約7haを擁し,「現地保存が不可能な文化的価値の高い歴史的建造物を移築し,復元・保存・展示することにより,貴重な文化遺産として次代に継承することも役割として担う」そうだ。最終的な復元目標を約31棟としているそうで敷地的にはまだスカスカした感じがある。
2時過ぎに西武新宿線花小金井駅側から小金井街道を南下したのだが(場所は「交通のご案内」参照),小金井公園南側の道路(五日市街道)は大渋滞。「何故こんなところで」と思ったが何のことはない,「たてもの園」の本体である「都立小金井公園」の駐車場に入るクルマが延々列を作っていたのである。道理で公園西側の小金井街道沿いに路上駐車が多かったわけだ。20分ほどかけて駐車場の入り口である正面交差点までたどり着いたが,しっかり「満車」の立て札。「2時間待ち」の張り紙まである。くじけそうになったが,かなり広い公園である一方,周囲は住宅地ばかりで且つ道が狭く,すぐ南側には玉川上水。カーナビで見る限り周囲に駐車スペースはありそうもない。そのまま並んでいたら,ゲート右側の空き地に誘導されて,急に列が動き出した。駐車料は1時間500円で以後1時間100円と言ったところ(3時前に入り5時頃に出たら700円だった)。丁度フリーマーケット開催中で,それを楽しみながら(子供服を2点ほど買った)公園西側の「たてもの園」へ。
正面入り口(ビジターセンター)は1940年(昭和15)に皇居前広場で行われた紀元2600年記念式典のために仮設された式殿『旧光華殿』。昭和16年に現在地に移築され,それがビジターセンターとなっているわけである。外観は神殿だが階段を登った内部は今風の造りで,中央がインフォメーションと改札,右側が売店で左側が展示スペース(奥に展示室もある)になる。園内は西ゾーン・センターゾーン・東ゾーンに分かれる。まずはセンターゾーンから。ビジターセンターから右に行くとまず『高橋是清邸』。あの2・26事件の現場になったその建物だ。ただし1階部分が何故か休憩所・飲食施設になっていたので,てっきりその東側の「西川家別邸」と同一の建物と勘違いしてしまい,肝心の2階部分(是清の書斎や寝室がある)を見逃してしまった。残念。その『西川家別邸』は昭島の製糸会社の設立者が隠居所及び接客用として大正末期に建てたもの。僕の世代からすれば部分部分が懐かしい造りで,子供の頃の我が家の記憶が甦った。西側に接客用の二間続きの部屋があり南側から北側に延びる廊下の北西の角に便所がある。欄間や天井のデザインなんてそのまんまだ。ここには北側にも東西を貫く廊下があるところが豪華かな。東側にある茶室『会水庵』もいい感じ。

続いて東ゾーン。西川家のすぐ北東側の『天明家』は座敷付きの長屋門がある18世紀後半の農家。屋根は見事な茅葺きだ。もちろん平屋だが,中央部分は2室を2列に並べた「四間取り」で,地主だという茨城南部の友人の家でこの造りを見た覚えがある。次は今日のメイン,「千と千尋の神隠し」の湯屋,『油屋』のモデルになったという東側奥の『子宝湯』へ。昭和4年に足立区に建てられたという銭湯なのだが,映画のような高層建築であるはずがなく,入母屋造りの大屋根とその下に張り出した玄関の唐破風は立派だが,内部の造りはよくあるもの。まぁこの程度の銭湯ならまだまだ都内にも現役で頑張っているものが多い。学生時代に良く通った「柳屋@用賀」の北側にある銭湯,「青葉@鍋横」の北側(坂を下りた右奥)にある「千代の湯」なんて今でもこうだった。「いちや@大井町」の西側にあった銭湯も外観はまさにこういう感じだった。でも銭湯に縁のない世代(今は学生も風呂付きのアパートが標準では?)には,ペンキ絵もタイル画も三層に分かれた浴槽も目新しく見えるんだと思う。一番家族連れが多かった展示物だった。その左脇の『鍵屋』は下谷に江戸末期に建てられた酒問屋。戦後その片隅を居酒屋として営業していた頃を再現した展示物で味がある。映画のセットのようだ。ただし暖簾で仕切られた店先はすぐ店部分となり,進入禁止の柵があって足を踏み入れるスペースがない。結果,じっくり見ていられないのが残念かな。子宝湯の前の通りは,いわばこのたてもの園のメインストリート(?)で,2階部分が格子戸の和傘問屋『川野商店』(南小岩・大正15年建築)や隣に黒い袖倉がつく『小寺醤油店』(白金・昭和8年建築)が並ぶ。一番感激して娘達を呼んでしまったのが通りの南にある文具店『式居三省堂』。神田須田町・昭和2年建築のなんと3階建ての細長い建物なのだが,その左側の壁一面が細かい引き出しが何段にも重なっている。そう「千と千尋の神隠し」のボイラー室で釜炊きの「釜爺」が,何本もの手で風呂に入れる薬を引き出していたあの「引き出しの壁」なのだ。記念写真を何枚も撮ってしまう。本当にあるとは思わなかったもの。本来は筆を入れておく引き出しだったそうな。その隣に,本当の街のようにぴったりと建っているのは同じ3階建ての『花市生花店』(昭和2年建築・神田淡路町)。ちょっと離れて荒物屋の『丸二商店』(昭和初期建築・神田神保町)。かま・七輪・洗濯板にちゃぶ台・・・今の子供たちは知らないものばかりである。道を挟んだ向かい側は『植村邸』(昭和2年建築・中央区新富)。この一帯の建物はみな「看板建築」と言われるものだそうで,外壁の銅板がなかなかに趣がある。『村上精華堂』(昭和3年建築・池之端)。古代ローマ風の白い建物だが,柱の中身は木造である。その南側には黄色い『都電』もありなかなかに楽しい。懐かしい赤い丸形ポストのある『万世橋交番』(煉瓦造りで明治後期のもの・神田須田町)を前を通り西ゾーンへ向かう。時間は4時近い。冬場は16:30までの開園時間なのだ。

まずは西に向かう「山の手通り」沿いにある『田園調布の家(大川邸)』(大正14年建築)。平屋でコンパクトながら今でも通用しそうな洒落た洋風の家だ。家具もあるから実際の生活感がわかる。その西側に,吹き抜けの広い居間に中2階まである建築家の『前川國男邸』(昭和17年建築・品川区上大崎),宝形造りのピラミッドのような大屋根が印象的な『小出邸』(大正14年建築・文京区西片)が続く。どちらも今でも住みたくなるようなモダンなデザインの家である。その向かい側にある『三井八郎右衛門邸』(昭和27年建築・西麻布)。このたてもの園のメインと言っていいだろう。名前通り,財閥の総領家らしく,花鳥風月の描かれた襖・杉戸・障子,不必要なくらいでかいシャンデリアと,細部に至るまで実に豪華絢爛。厨房などまるでレストランのようである。その奥の土蔵(明治7年建築)はなんと3階建て。中は展示館となっていた。その東側はいかにも古いドラマに出てきそうな白い外壁の『常盤台写真館』(昭和12年建築・板橋区常盤台)。1階が応接室・老人室・子供室が効率よく配置された居住部分で,2階が写場(スタジオ)なのが変わっている。西ゾーンの一番奥には『吉野家』(江戸時代後期建築・三鷹市)『綱島家』(江戸中期建築・世田谷)『八王子千人同心の家』(江戸後期建築)と茅葺きの立派な農家が並ぶ。東に広い土間があり,西に座敷があるのは子供の頃の我が家の造りと同じ。木の自然な形に波打った極太の梁など共通項も多い。その梁は今も我が家の中心に五段重ねで隠れているが,まだ十分現役らしいから(大工さんにあと100年は大丈夫だと言われた),この頃の家の作り方は,現代とは根本的に考え方からして違うんだと思う。もっと大事にしなければ。そう何度も娘達に言い聞かせた。新しいだけがいいんじゃないと。こうして駆け足で一通り全施設を見終えた頃,頭上でカラスが鳴いて閉園時間のアナウンスが流れた。
ビジターセンターにはしっかりおみやげコーナー。ちなみにマスコットキャラクターの「えどまる」は宮崎駿監督により制作されたものだそうだ。公営の施設の割にはかなりのグッズがあるが,おすすめは青い表紙のガイドブック「WELCOME TO 江戸東京たてもの園」。イラストがとてもきれいで,これで200円ならかなりのお買い得である。妻は干支の風呂敷で,下の娘は犬張り子のキーホルダー,上の娘はなぜか「べーごま」を欲しがった。そう言う流行があるのだろうか。家に帰って回し方を教えたのは言うまでもない(笑)。
まんぼう亭@武蔵小金井:小金井市貫井南町2-7-11 火休 11(日祝11:30)〜19:30 <042-385-9977>
武蔵小金井駅南口から南側に延びる幹線道路(府中小平線)沿い左側。歩道に面した引き違いの格子のガラス戸を開けて一段高い店内に入るとすぐ朱色のコの字型のカウンター(11席)の狭い店内。テーブルを置くスペースもない。年輩の夫婦の店のようで,無口な感じのご主人とニコニコ愛想のいいおかみさんが狭いカウンターの中にいた。看板メニューの「ミックスらーめん・950円」を注文。しっかり煮込まれたバラ肉1ヶとまん丸のバラロールチャーシュー3枚がのるのが特徴。らーめん600円との差はバラ肉1枚とチャーシュー2枚なので、肉好きな人はこれだろう。表の看板に「房州だし」と大きく描いてある通り,しっかり濃い醤油色の「魚系」のスープ。「動物系」のスープを合わせるダブルスープだそうな。どっしりしている。麺は固めの縮れの強い細めの麺で,これでかなり和風の印象になる。ライスは200円だが,キムチ付きだからありがたい(半ライスは150円)。つけめん好きの上の娘用に「つけめん・700円」を注文したのだが,細めの縮れのある麺がつけ麺としては平凡な感じで,今一歩箸が進んでいない。くっついてほぐれも悪いからか「ご飯がいい」と言って,チャーシューとバラ肉とキムチでライスを食べていた。そのつけ汁は,ゴマ油のきいたしっかり醤油色のもの。やはり和風っぽい。中にチャーシューの切片がごろごろしているのだが,刻みノリがかけられた麺の下にチャーシューが隠れていたのには思わず顔がほころんだ。メンマはけっこう多めだ。年季を感じさせるこの店のラーメン,あらゆる世代に受け入れられるためにはこういうタイプのラーメンが無難なんだと思う。若者も年輩の客も同じ割合でこの時間は店にいた。麺上げはおかみさんがしていた。
時間的にも一応これで夕食の分は済んだのだが,「武蔵野のラーメン」と言うコンテンツが頭の中で出来上がっていたので,僕としてはこのまま帰るわけには行かないだろう。「都下の有名ラーメン」のページを充実させると言う使命もある(?)。黙って次の店に向かう,次はちょっと北西に向かって国分寺だ。
味太郎@国分寺:国分寺市東恋ヶ窪2-6-18 火休 11:30〜14:30/17〜23 
西武多摩湖線の線路沿いのマンションの1階部分に「ホープ軒仕込み中華そば」の文字が浮かび上がっている。日曜の夜7時近く,商店街からはちょっと外れた,他に店の灯りもない静かな通りなのだが,なんと店外に10人ほどの行列。ちょっとくじけそうになったが一応並んでみる。よく見ると,カウンターの客(9人ほど)もまだ食べていない。これは時間がかかりそうだ。店主1人でこの人数をこなしているようで回転が悪い。茹で時間がかかるのかなとも思ったが,入口のガラス越しに見えるカウンターの客の口に運ばれている麺は,どうも細めの麺(?)。少なくとも「ホープ軒@千駄谷」ほどの太さはない。ホープ軒系の「香月@恵比寿」の線かと思ったら,石神本(「ラーメン伝説」)をよくよく読むと,「ホープ軒本舗@吉祥寺」系らしい。もちろんこの吉祥寺の店は「ホープ軒@千駄谷」を知った後の昭和50年代後半に食べた記憶があるが,行列ほどにはインパクトがなかった。いずれにせよ,スープが背脂系なら,細めの麺ではどうも食指が動かないと,店を後にする。でもちょっと心残り。今この時代に都心から少々離れた国分寺の店とは言え、「ホープ軒」の名前を出す店にこれほどの行列ができる理由を知りたかった。「中華そば」と言う表現も気になる。これは次の宿題だろう。
なんとかもう一杯。先月に来た時(2001/10/08)にふられたあの店だ。
大山家@武蔵境:武蔵野市境南町5-3-16 月休 11〜翌1(日〜22)
小金井〜三鷹あたりの中央線の南側を一直線に東西に走る「連雀通り」は道幅が狭く,路駐は絶対的に無理な場所。測道はさらに狭いのだ。店の西側に駐車スペースが2台分あるがちょっと狭い。店の西側にユニクロとファミリーマートがあった。妻子は連食は無理なのでそのコンビニでお買物。「好きな物買ってこい」と言ったら子供は喜んだ。僕だけそそくさと店に向かう。正面にカウンター。左側に4人テーブル2台のシンプルな造り。水はセルフサービス。ここでは家系としては珍しい「つけ麺」が目的だ。さらにネーミングのいい「とき卵つけ麺」(800円)を奥さんらしき女性に注文(普通は750円)。冷水で締めるためか少々時間をおいて出てきた。一目でわかる麺の多さ。ラーメン用の普通の丼に8割ほど盛られている。連食ではちょっと辛い量だ。「酒井製麺」と言う印象ではないが自家製麺だろうか。ちょっとイメージが違う。「近藤家@横浜」出身というこの店,スープはまさに家系のもの。これも普通のラーメン丼に8割ほど。濃度も量も十分だ。つけ汁だから甘酸味があり,味付けもけっこう濃い。スープは温かく,肝心の「とき卵」はつけ汁に少々。1個分丸ごとというわけではないようだ。量が少ないから思ったほどスープに影響を与えるものではないようで,プラスαのお楽しみとして面白い組み合わせだ。あとキャベツが標準で入ってくるのはうれしい。濃厚なスープの合間に食べるとキャベツのさっぱり感が心地いい。さすがに麺を少々残してしまったが,普通の状態ならガシガシ食べられそうな好みの味である。今度は普通のラーメンをキャベツ追加で食べたみたい。そう思った。
コンビニで買った袋一杯のお菓子をうれしそうに食べていた娘達。でもこのまま帰ったのではちょっと子供たちの楽しみが少ない。そうここは三鷹に向かう連雀通り。自宅を出る前から決めていた計画があったのである。何も言わずクルマを東へ走らせる。5分ほどでその「目的地」に着いた。
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 なんとあの宮崎駿監督に突然遭遇
「はいここで降りて」ジブリ美術館の前でクルマを止めて娘達に言う。何のことかわからない妻と娘達はキョトンとしている。「あ〜っ!!」降りてびっくりする子供達。そりゃそうだ。TVでしか見たことのない「ジブリ美術館」が目の前にあるのである。もちろん,すでに閉館して明かりは街灯だけだから,入場門の鉄格子の向こうに建物がぼんやり見えるだけ。でも地元に帰れば「話のタネ」としては十分だ。門の脇の看板の前で一応記念写真を撮る。普通,東京の町中では恥ずかしいことなのだが,意外にこの通りは人通りが少ないのでこれもありなのだ。2枚目の写真を門の鉄格子の前で撮ったとき,館の前に紺色のクルマが止まっているのが目に入った。アウディのようだ。「スタッフのクルマかな」と思い,「じゃぁ帰るぞ」と言ったとき,鉄格子から名残惜しそうに中をのぞいていた娘がまたも「あ〜っ!!」と声を出した。何だろうと中を見ると鉄格子の間からチラッと見えたのはTVで何度も見たひげ面に黒眼鏡・・・そう宮崎監督が建物からひょこひょこと出てきたのである。場所が場所なんだから当たり前と言えば当たり前なのだが,予想していなかっただけに喜んだ。2,3人の若い人と一緒にまっすぐ例の紺色のクルマに向かっている。「スタッフが監督を送っていくんだろうな・・・」そう考えて一応カメラにフィルムを入れ直す。滅多にないチャンスなのだから娘達と一緒に写真でも撮ってやりたい。でもまさかクルマに乗った人を降ろすわけにも行かないから,そんな声をかけられるはずもない。だって「アイドルの追っかけ」じゃないんだもの,キャーキャー騒ぐわけにもいかないだろう。せめてクルマが出ていく一瞬に,後部座席の監督の写真でも撮ろうかなと思ったわけだ。スタッフとガードマンが鉄の門を開け始めた。息をのむ親子4人。もちろん他に人はいないのだからスタッフにちょっと怪訝そうな顔をされる(夜だもの)。クルマが出てきた。暗いから後部座席なんて見えるわけもない。一瞬諦める。そこでまたも娘が「あ〜っ!!」。後部座席を凝視していた目のピントを前方の席に合わせてびっくり。なんと宮崎監督自身がクルマを運転して出てきたのである。運転席の窓が開くのと,僕と娘の声はほぼ同時だった。

「あっ,本物だぁ〜」

それが聞こえたのか,こちらを見てにこっと笑う宮崎監督。思わず手を小さく振る妻と娘。右側から来るクルマを確認して,笑顔のまま監督のクルマが出ていった。「本物だ〜本物だ〜」。飛び上がって喜ぶ娘達。そう,トトロに逢って大喜びする「サツキ」と「メイ」のように・・・。生きているトトロには出会えるはずもないが,宮崎監督は実在する。子供達にとって宮崎監督はトトロのような存在なのだ。でも田舎の人間にとってはあまりに遠い存在。いや,東京にいたってそうそう出会えるものではないだろう。その実物に会えた。講演会とか試写会とかではなくこんな場面で会えた。そこに価値がある。クルマに戻ってからも娘達の興奮は冷めない。「すごい,すごい」の連呼。そうなると僕自身,どうにかして監督と数秒でもいいから話したかったなぁと後悔することしきり。娘達の名前の意味を伝える,最も意義がある人が監督なのである(呆れるだろうが・・・)。「でもクルマは止められないよな〜でもなぁ〜一生に一度のチャンスだろうしなぁ〜」。その後の妻との会話はもうきりがない(笑)。それにしても,何故二人そろって「本物だぁ〜」と言ってしまったのか。それが不思議。でもこの日の3日後の水曜日,11/21深夜のTV朝日「パフィー」と言う番組。その中で「ジブリ美術館」内を使ったクイズの撮影をしていたパフィーとマックスが,偶然宮崎監督に途中で会って,挨拶をしてその場を通り過ぎた後に,「本物だぁ〜本物だぁ〜」と喜んで駆け回っていた。そう,天下の芸能人でも会えて嬉しい「時の人」なのである。僕や娘が大騒ぎするのは当然のことなのだ。「あのとき監督は,さつきやももたちだけを見ていたんだよ〜」。もうそう言うことだけ繰り返し言って帰った。娘達に贈れた最高の思い出。毎週のように東京にラーメン食べ歩きに出てきていた甲斐があったと言うものだ(笑)。

そのまま青梅街道経由で新宿へ。首都高に乗って渋滞に遭うのはイヤなので,新宿から青山を抜ける。霞ヶ関ランプから首都高へ。例の如く芝公園の先の右カーブから,一瞬見えるお台場の夜景を堪能しながら,湾岸線へ。今日はことのほかレインボーブリッジから見える東京湾側の夜景がきれいだった。もちろんお台場側も。順調に常磐道を飛ばし,霞ヶ関から丁度1時間半で自宅についた。便利な時代になったものである。
さてその「ジブリ美術館」の来年のチケット。11/20の10時に発売開始だったのだが,やはりその時間に電話はまるでつながらない。ローソンチケットコムならインターネット上で予約が出来るみたいなのだが,それに気がついたのは10時5分前。しかも年会費1800円を払って会員にならなければならないようだから間に合うわけもない。こうなったら最後の頼みはローソンでの直接予約。ロッピと言う端末で予約するわけだ。昼休みになるのを待って近くのローソンへ。HPの指示通り来年1月のナンバーを入力して1月3日から・・・・予約開始から3時間後ですでに売り切れている。我が家は日曜祝日しか行けないから7日,14日と順々に入力していくのだが,すべて売り切れ。この時点では平日はまだ券があった。やっと2月17日の14時に空きがあったのだが,みんなの都合を妻にケイタイで確認している間に「人数を減らして再入力してください」の指示。分単位1人単位でどんどん埋まっているようだ。結局「3月10日12時」で「お名前を入力してください」の指示が。打ち出されたレシートを持ってレジに行き代金(大人1000円・小学生400円と実に良心的な値段)計2800円を支払い,無事念願のチケットを手に入れた。この日の夜,ローソンのサイトを見ると,2,3月の日曜にも若干空きがあったが,それは多分に16時からの回だと思う。閉館が18時だから,2時間では遠方からの場合もったいないだろう(それでもなければそうするしかないだろうが)。その翌日(21日)の時点では土日祝は完売。遅かれ早かれ平日もすべて埋まるだろう。考えている以上に人気が高いのである。この値段ではリピーターも多いことだろう。しばらくはこの状態が続くと思う。次なるチャンスは4〜6月分を売り出すであろう2月20日午前10時か(予想だが・・・いずれHPに掲載されることと思う)。チケットが欲しければこの時間に近くのローソンに行ってロッピに張り付くしかない。レスポンスはいい端末だと思うが,先に使っている人がいたらお手上げ。幸運を祈る。我が家は体調を整え3月10日を待つことにしよう(笑)。この日学校から帰ってきた娘達が,チケットを見て目を輝かせて喜んだのは言うまでもない(券が買える仕組みがよくわからないようだったが)。
この下にその日の報告を書く予定である。それにしても実際に行けるのは約4ヶ月先のこと・・・。長いよなぁ〜(・・・2001/11記)。
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 いざ行かん,憧れの「ジブリ美術館@三鷹」(2002/03/10)
三鷹の森ジブリ美術館』:三鷹市下連雀1-1-83(井の頭恩賜超公園西園内)火休 10〜18 <0570-055777>
    入場時間指定制(10・12・14・16時の4回・各30分までに入場)大人1000円・中高700円・小400円・幼(4才以上)100円
    チケットは日時指定でローソンでのみ販売・各店舗のLoppi端末にて必要事項を入力し購入
昨年末から待ちに待った「ジブリ美術館」の日。苦労してとったプラチナチケット指定の時間は12時。この時間以外は無効になってしまうシビアなもの。家族全員の体調を整え,朝7時半に満を持して自宅を出発,常磐道を飛ばし外環道から練馬インターへ。10時前に無事吉祥寺にたどり着く。問題は駐車場所。井の頭公園駐車場は当然の如く満車で,片側1車線だから空き待ちもできない状態。入口前に停車すると即ガードマンに移動を促される。少し先(南側)にコインパーキングがあったのだが,鼻の差で先にとめられてしまった。時間もあったのでぐるぐると吉祥寺駅周辺を回り,吉祥寺通りを東に向かった先(吉祥寺南2-29)で1時間300円のコインパーキングを見つける。通りから見下ろせる一段低い場所だが,入口は一本北側の一方通行の道側にあり入場しづらいからこの値段なのだろう。ジブリ見学で長時間駐車を予定していたのでこの1時間300円と言う料金はありがたい。さて,入館前に昼食である。のんびりと吉祥寺駅方面に向かう。やはり一応ここはラーメンだろう。吉祥寺駅の北西・吉祥寺大通り沿い・近鉄南側のビルの地下一階にある「一風堂@吉祥寺」へ(>「食べ歩き日記・2003/0310」参照)。
吉祥寺駅南側の雑踏を抜けて,井の頭公園沿いの道をとぼとぼと歩く。徒歩だとそれなりの距離だ。館の北側にある,大きなトトロが座っている受付はニセ物。ここでお約束の写真を1枚。入口はもうちょっと先だ。入場に大行列かと思いきや,意外にスムーズ。入場時間に30分の幅を持たせているからだろう。入場引換券はここでジブリのセル画入りの入場券に変えてくれる。いい記念になる心憎い演出だ。階段を下り地下一階のホールへ。なんと『写真ビデオ撮影禁止』。「ジブリ美術館は物語の入口です。物語の主人公になるにはカメラを向けるのではなくこの空間をご自分の目で体で見て感じてください。そして思いでは心の中に大切にしまって持ち帰って欲しい。これが私達の願いです。宮崎駿」と記されていてはしょうがない。この日のために10年間愛用した初代液晶ビューカムに見切りをつけ,新しいビューカム(SHARP VL-NZ10)を買ったのに・・・残念。昨年の関連HPとか見ると撮影可だったようだから,今年に入ってからの処置なのだろう。でも考えてみればビデオとかカメラをを持っているとそれに映像を残すこと「だけ」に力を注いでしまい,肝心の子供たちの姿が出来上がった写真やビデオの映像のみの記憶になってしまう。子供たちが無心に遊ぶ姿を,ぼんやりと眺めるのがいいのかもしれない。
館内は地下1階から地上2階までの吹き抜け。両サイドに螺旋階段と素通しガラスのエレベーター。張り出したテラスやその間の空中を横切る長い廊下があり,まるで迷路のよう。真っ先に向かったのは娘達が一番楽しみにしていた2階の「猫バスルーム」。当然小さな子供だらけだが,10分ほどの入替制で係員の女の子が3人ほど。靴を脱いで待つことになる。我が家には下の娘が生まれた時にかなり思い切って買った(2万円以上したんだもの・・・)猫バスの大きなぬいぐるみがあるのだが,ここのは本当に巨大。1BOX車に頭と手足(8本)をつけたような大きさだ。端に転がる「まっくろくろすけ」を投げながら無邪気に遊ぶ娘達をじっと見ていた。本当に楽しそうだった。
猫バスルームの脇の踊り場から狭い螺旋階段を昇と屋上に出る。土が盛られ雑草が生えたその中央に立つ大きな銅像。「天空の城ラピュタ」に出てくる「まもり神」だ。これは感激する。暗黙の了解か,ここでは写真撮影可のようでみな写真を撮っていた。ちなみにこの銅像,作者が新婚生活を投げ売って制作に没頭したもので1000万円位かかっているとか。細部にかなりこだわったもので,近づいて朽ち果てた胴体や手足の一部を覗いてみると,仲までぎっしり詰まっているのがよくわかる。肩から草が映えているのが実にいい感じ。このまま時間が経てば経つほど,映画のイメージに近づいていくと言う,まさにこの美術館のシンボルだ。屋上の奥には「ラピュタ」を操縦する四角い石が再現されている。このあたりは作品を見ていないとピンと来ないだろう。何度も見ている娘達は大喜び。なで回すように遊んでいた。もちろんここでも人がとぎれるのを待って写真を撮っておいた。
この美術館のもう一つのメインは地下1階にある小さな映画館「土星座」。時間ごとの入れ替え制で,この日は毎時15,35,55の3回上映。入場券にスタンプを押される(つまり1回しか見られない)。作品は「コロの大さんぽ」(14分)。東小金井が舞台のほのぼのアニメで「思い出ぽろぽろ」のタッチだ。作品は他に「くじらとり」で期間ごとに交互に上映されるようだが,10月からは「めいとこねこバス」と言う作品が予定されていた。1人乗りの猫バスが出てくるはなしのようでで面白そうだ。これを見るためにまた来ると言うのもいいかもしれない(笑)。
映画館の反対側は「動きはじめの部屋」。アニメの原理をわかりやすく説明した展示室で,中央の回転する大きな立体模型はストロボを当てることにより本物のように動く。サツキとメイとトトロで縄跳びしているのだ。入口脇の白いジブリハウスの小窓の中に精巧なジブリスタジオが再現されている。なんの説明もないので見逃しそうだが,ここは要チェックだ。是非覗いて欲しい。
1階には「これまでの部屋・これからの部屋」と言う企画展示室。部屋の中央に『千と千尋の神隠し』の全原画とかセル画が山のように積まれその量に圧倒される。基本的に一枚一枚手書きのわけだから,絵を描くことが好きな上の娘は興味津々。壁には予定表とか貼ってあって,夜食の献立とか注意書きとか書いてあるので,現場の雰囲気を感じてうれしくなってくる。
1階のもう一方は「映画の生まれるところ」。本がぎっしり詰まった書棚にはイラストやスケッチがたくさん貼られ,その前の古い机には書き換えの絵や鉛筆。宮崎監督の部屋を再現した部分もあったりして,ジブリアニメファンならずっと楽しめそうな小物がちりばめられた空間だ。
美術館からカフェに向かう中庭には手こぎポンプがある。僕が子供の頃には当たり前にあったこんな単純なものでも,現代に生きる我が娘達には珍しいもの。大喜びで水を汲んでいた。その脇には薪割り場も。TVでは斧で薪割りができるような感じだったが,さすがにそれはできないようだった。
1階部分の外側にあるカフェは「麦わら帽子」。テラスでは軽い食事ができる。ホットドッグをいただく。娘達はあとジェラートも。84円の麦茶がユニーク。僕は記念に持ち帰れるオリジナルの青い瓶が欲しくてビールを注文してしまった。オレンジ色の外壁の建物内ではレストラン的な食事もできるようだが,案の定,順番待ちの列がぐるっとできていたので,ここで食べるなら時間を見計らって行くのがいいだろう。僕的には食事は外で済ませ,また退場後に外で食べた方が効率がいいと思う。
猫バス脇の書籍コーナー。中川李枝子の「となりのトトロ」(徳間書店)。その中の「姉と妹」という詩が実にいいのだ。娘達に読ませたくて買ってしまった。もう一方のおみやげコーナーは大混雑。大騒ぎしながら,まっくろくろすけのぬいぐるみ,「千と千尋」の坊ネズミ,ジブリ下敷きにピンバッヂ。メインは焼き物のトトロのどっしりしたテープカッター。
結局,時間ギリギリまで館内に留まり,最後は夕暮れの屋上で「まもり神」をずっと見ていた。苦労してチケットをとってはるばるここまで来た甲斐があった。無邪気に遊ぶ娘達をぼんやり見ながら,妻とそう納得して頷いた。
僕の夕食は井の頭通り沿い「かぎや@吉祥寺」(>「食べ歩き日記・2003/0310」参照)。すぐそばのジョナサンで待っていた娘達に合流する。満足した気分で帰途につく。また外環で帰るわけだが,ここまで来たならと,最後に久しぶりに「御天@井草」へ(>「東京の博多ラーメン」参照)。一応「ラーメン」のHPなわけだし・・・。
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