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桜満開の箱根・日帰りで温泉とラーメン(2001/04/08)

 

16年半放映が続いたTV朝日の「カーグラフィックTV」が先日放送800回余りで終了した。その番組の中で新車の試乗テストをよく撮影していたのが箱根の「芦ノ湖スカイライン」。番組が始まった昭和60年前後,三国峠からクルマ越しに富士山を望む夕暮れの絵柄に憧れて,ヒマさえあれば毎週のように茨城から通った時期がある。箱根に行くようになったのはこの番組の影響だったと思う。当時乗っていたのは1600ccDOHCエンジンを搭載した黒のCR-X・Si。初めて買ったまともなクルマがうれしくて(最初に乗っていたのは10年落ちのホンダZだったもの)運転していること自体が楽しかったころだ。もっとも別に「峠を攻める」ようなテクニックがあったわけでもなく,なんとなく飛ばして走って夕暮れの富士山を眺めるのが好きだったのだ。帰りは東京で高速を下りて「ホープ軒@千駄ヶ谷」。そんな時代だったのである。

そんなわけで10数年前の春先,妻との初めてのデートでドライブしたのもこの「箱根」。この時も中央高速河口湖インター経由で山中湖〜御殿場と走り,仙石原から芦ノ湖スカイラインというコースだった。日帰りで茨城から,さしたる目的もないのに箱根まで来てしまうその行動力に感心したそうだ(今は「勘違いした」と言ってるが・・・)。妻はその時通った箱根新道の桜が印象的だったらしく,桜の時期になると「箱根に行こう」と必ず言い出す。もちろん僕もこの時期の箱根は好きで,断る理由はない。今年は開花が早く,見頃は過ぎているかもしれないがそんなことはどうでもいい。とにかく久しぶりの「箱根」だ。家族で出かける。とは言え出発は11時近く。箱根に行くのにもあわてないのが我が家流(もったいない気もするが・・・)。
せっかくだから地元の桜も見ようと,勝田の自衛隊(「暖宝」の所)の桜並木を抜ける。次は美野里町国道6号沿いの桜並木。見事。1年でこの時期だけの楽しみだ。常磐道で東京へ。箱崎が渋滞していたので,葛西ジャンクション経由で湾岸線に出る。レインボーブリッジを渡り都心へ。昼間に首都高から見る東京タワーも,おもちゃのようで楽しいかな。全く渋滞につかまることなく,順調に東名から小田原厚木道路で箱根まで。箱根口に午後2時前に着いた。まずは遅い昼食の「ラーメン」だ。今日は石神氏の「ラーメン伝説」掲載の2店のチェックを予定している。
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味一@箱根 : 小田原市南町4-6-13 月火休 11〜16:30(スープ切れ終了)
 

東海道本線に平行して走る,枝垂れ柳の緑が鮮やかな街道(国道135号)沿い。新早川橋(西湘バイパス早川インターがある)のすぐ北側の「早川橋」バス停前。4月の日曜午後,店前の狭い歩道沿いにずらっと並んだ丸イスに座る,22〜3人の行列にまず驚かされる。近くのガード下に駐車場があるらしいが,それ以外の路上駐車は完全に不可能な場所。近くの河原にクルマをとめて(かなり遠回りになったが・・・)最後尾に家族4人で並ぶ。回転はおそろしく悪い。10分経ってやっと2〜3人が,店からぽつりぽつり出てくるとといった感じ。しかも店は西向き。まだ4月半ばなのに初夏の暖かさのこの日,日射しを避けて,女性の待ち客はみな道路に背を向け,壁を向いて座っている。なんか異様な光景。通りすぎるクルマが興味深げにこちらを眺めて通り過ぎる。待つ。ひたすら待つ。実は先日買ったドコモのポケットボードでこの文を書いていたのだが,書くこともなくなった。で,小4の娘に預けキーボードの練習。宇多田ヒカルの歌の歌詞を打ち込ませたりして時間を潰す。「近くのレストランかなんかでママと待っててもいいんだぞ」と言っても,もうその気もないようだ。「売り切れたらどうしよう・・・」そんなこと心配している。さすが我が娘。

結局1時間半ほど待って(大汗)やっと入店。三角形の敷地に,一番狭いところは奥行き一間ほどの店内。カウンターから調理場の後ろの窓に手が届きそうだ。客席はカウンターのみで詰めて9席。席を立って後ろに一歩踏み出せばもう店外である。頼んだのは家族4人でしょうゆ(450円)2杯,みそ(500円),しお(450円)。4杯で1850円。今時これはかなり安い。「しょうゆ」は表面に魚系の油の膜。ヤケドしそうな位に熱い。ぷるぷるの縮れ麺はちょっと柔らかめかな。でも,狭いカウンター上に丼をずらっと並べ,麺を入れてから最後の具が入るまでにけっこ時間がかかっていたから,それもしょうがないところか。一見頑固そうだが意外に物腰の柔らかいオヤジさん。今でも充分通用するこのスープの味を,40年以上前から作っていたのかと思うと感慨深い。「みそ」の具にはシャキシャキの細もやし。その絶妙の炒め方に年季を感じさせる。うまい。チャーシューも入りこれで500円なら大満足。透明なスープの「しお」ははっきりした味付け。何となく「懐かしい」タイプだ。無口な感じのおかみさんが,「麺 」と染め抜かれた暖簾をしまい始めた。時計を見ると午後4時。待ち客はまだ店外に10人ほどいる・・・。昼のみの営業でこの狭さ。特に回転をよくしようとも考えてはいないように思える。行列はしかたないか。でも,これだけ待たされても家族からは何も文句が出なかったことも付け加えておこう。(2001/04/08
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箱根新道〜芦ノ湖スカイライン〜元箱根〜芦ノ湖畔
 

予定外に時間をとってしまったが,本来の目的は果たしたい。早川の河原でちょっと遊んだ後,国道1号に戻り箱根新道へ(250円)。一気に箱根を駆け上がる。実に気持ちのいい道だ。もっとも以前来た時はディーゼルのデリカで苦労したものだが,今はエルグランド。同じディーゼルながら全くストレスなく走れてラク。そのまま箱根峠インターまで。桜もちらほら・・・。

次は「ヤギポイント」だ。芦ノ湖スカイラインにある売店の裏側でヤギと戯れるのが我が家の恒例。もっともこの時間(午後5時過ぎ)ではヤギは小屋に入っていたが,子供たちは裏山の芝生の上を駆け回っている。その小高い裏山からなんの障害物なく眺められる箱根の360度パノラマがまさに絶景。ちなみにこの芦ノ湖スカイライン,夕方以後(4〜5時以後?)に湖尻側から入ると,昔から料金をとられない(料金所に人がいなくなる)。途中でUターンしてまた湖尻側から出れば走り放題である。まぁ参考までに。
三国峠からは残念ながら霧で富士山は眺められなかった。天気のいい日には裾野から一気に富士全体を眺められるここの眺めは絶景である。何度来たことだろう。湖尻側から出て,箱根ロープーウェイの終点「桃源台」駅に出る。左に行けば仙石原(ここの「田舎茶屋」も思い出の店)だが,右に折れ,芦ノ湖北側を快調に飛ばし芦ノ湖南端の駐車場へ。ここは無料である。遊覧船をバックに記念写真。来るたびにここで写真を撮っている。いつも娘達はこの遊覧船に乗ってみたいというのだが,いつもせわしいこの日程ではいつまでたっても乗れそうもない。まぁとにかく温泉だ。
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雲遊天山露天風呂 :神奈川県足柄下郡箱根町湯本茶屋208 <0460-6-4126>
入館受付9〜22(閉門23時)無休 大人1000円・小人650円(1才〜小学生)・貸し浴衣500円・貸座1時間2000円

芦ノ湖湖畔の旧道の杉並木を抜け,上り坂の左カーブのところを畑宿方面へ右折。ここが箱根旧街道。須雲川に沿うように走る旧道だ。まもなく左手にポツンと「甘酒茶屋」。さらに走り,寄せ木細工の町「畑宿」の狭い街中を抜けた先の左側にこの「天山」がある。ちょっとわかりづらい上に日祝は入場制限があり,手前の待避所で待つようになるので注意。反対車線側からはちょっと入りづらいと思う。狭いS字カーブの坂を下り駐車場へ(1台分のスペースはは狭いがけっこう広い)。同じ敷地内に「湯屋・一休」「仮りの宿・羽衣」と言った施設もあった。来るたびに増えている(改装している)ような気がするなぁ。

「天山」そのものは駐車場の左奥にある。間接照明で大きな夜桜がぼんやり浮かび上がり,実に雰囲気がある。石の階段を上り2階の入口へ。洒落た雰囲気の和風の売店の脇を抜けて,桟敷席のような休憩所の間を抜け階下(1階)の浴場へ。造りそのものはちょっとした旅館の裏庭を裏山の斜面ごと巧みに利用して岩風呂をレイアウトしたような感じ。敷地的にはそんなに広くないと思うのだが,内湯(漆塗りの浴槽だ)との仕切を無くしたりして開放感がある。徹底的に照明には気を遣っているようで,薄暗い感じがかえって高級感を出している。中央に雪国のかまくらのようなサウナ。地熱を利用しているようで,ムシロに1人分ずつの簀の子をひいた天井高150cmほどの狭い空間だが,さほど温度は高くないものの,面白い雰囲気がある。ここの温泉は,源泉を「チタン鋼管での熱交換システムを施し,成分を全く薄めることなく」浴槽に満たしているそうだ。泉質そのものは「すべすべする」とか「ねっとりしている」とかの特徴は感じないのだが,まぁ箱根はそんなものなのだろう。1時間ほどゆっくり湯につかる。
風呂から出たら中庭のテラスで娘達がハーゲンダッツのアイスを食べて待っていた。その中庭の向こうには,かまめしの「七瀬」,しゃぶしゃぶの「楽天」と言った洒落た御食事処もあるのだが,もう一軒の宿題が残っている。クルマに戻り,旧街道を下り,須雲川にかかる三枚橋を渡って国道一号線に出る。箱根湯本駅のところ。小田原方面に少し走り,小田原厚木道路で東小田原インターまで(区間料金350円)。
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十三(とさ)@小田原 : 小田原市堀之内19-13 無休 11:30〜15/17:30〜22

小田原厚木道路・小田原東インターからR255を北上し,桑原交差点を左折,酒匂川を渡った先「堀の内」交差点の手前右側にこの店はある。店前には2台分の駐車スペース。入口は素通しの大きなガラス戸だが,店内は間接照明の落ち着いた和風の雰囲気。ちょっと高級感もある。

「津軽ラーメン」と店前の看板には書いてあるが,むしろメインは無国籍料理のようだ。メニューには中華料理から、韓国料理,タイ料理まで並ぶ。2種類のタイカレー(1200円),マグロのカルパッチョなんてのもあった。各々が1000円前後だが,値段相応のものを期待させる雰囲気が店にある。でも我が家が頼んだのはもちろん「ラーメン」中心。まず醤油らーめん(580円)が2杯。白いハモのダンゴが目をひく。薄い醤油色の透明なスープはまさに「ダシ」が効いているという感じ。一口飲めば「うん,うん」と頷いてしまう。肉厚のチャーシューは中央がピンク色で縁に焦げ目が付いたまさに「焼き豚」。ちょっと噛み切りづらかったが本格的なものだ。ご飯ものも欲しかったので炒飯(850円)を注文。値段は850円と高めだが,大皿に盛られ量的には充分で,具にはチャーシュー,エビがコロコロと入っている。付け合わせにレタスがドーンと2枚。何故か胡瓜薄切りも。鮮やかな橙色の辛味噌を加え,レタスで巻いて食べるようだ。もっとも,レタスの甘味&水分で肝心の炒飯の味がぼんやりしてしまう気もするので,そのままレンゲでいただいた方が僕的にはうまかった。あと,「あっさり塩味」か「こってりオイスター味」かを選べる中華丼(950円)も注文し,楽しみに待っていたのだが,炒飯が出た後で「ライスが切れてしまったので・・・」と言われる。通常なら不満に思うところだが,醤油ラーメンを食べながらメニューを見ていて,「自家製味噌を溶かしまたは絡めて食べる」と言う文句が気になっていた味噌らーめん(580円)を注文。これが秀逸。ゴマの風味も感じる甘味のある味噌に白髪ネギが乗せられ,ど〜んと山盛りに浮いている。これをダシのきいた透明なスープに溶かしてもよし,やや平打ちの麺に絡めてもまたよし。いろいろな味を楽しめる。もう少し麺が固めだったらよかったとも思うが,狙いでそう言う麺にしているのかもしれない。味噌ラーメンの新しい形を見た気がした。箱根とセットで考えたい店である。(2001/04/08

 

R255に戻り,東名松田インターから東京へ。渋滞につかまることなく順調にクルマをとばす。いつもならこうして東名高速で帰る場合,東京で高速を下り,例えば世田谷通りの「百麺@経堂」あたりに寄ったりするのが,ここ4〜5年の恒例なのだが,「1時間でも30分でも早く帰ろう」と言う妻の言葉に素直に従う。実は明日の月曜から娘達は新学期が始まるのだ。でも首都高は断続的に渋滞。渋谷あたりで止まってしまう。慣れたもので娘達は3列目のベッドでとっくにぐっすり眠っている。電光板では江戸橋あたりが事故渋滞で真っ赤だったので,いつも通り湾岸線へ。お台場の夜景が見えたあたりで「もう一杯食べたかったな・・・」と思ったがしょうがない。結局自宅に着いたのは12時過ぎだったのだが,娘達は翌朝も元気に起きて学校に行ったのは言うまでもない。こう言う日曜の過ごし方に慣れているのである。何をしに行ったのかわからないと思うが,「ハコネ」と言うところに行って「オンセン」に入って「おいしいラーメン」を食べたと言う記憶はしっかり残っていくと思う。そして,日帰りでそんなことをしてしまう無茶な父親だったと,いつか笑い話にしてくれると思うのだ。

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