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『新横浜ラーメン博物館』

新横浜ラーメン博物館 横浜市港北区新横浜2-14-21 無休 11〜23(入場は〜22)
  TEL:045-471-0503 1日入場券 大人300円・小人100円(小学生)・3ヶ月(6ヶ月)パス=1000円(1500円)
駐車場(同ビルの上階) 最初の30分=100円・以後30分250円(通路が狭い)・博物館前に一般駐車場あり

 家族で楽しむ『新横浜ラーメン博物館』(1999.11.14
「ラーメン家族」と自分で言っているくらいだから,「ラ博」ぐらいしょっちゅう行ってもよさそうなものだが,実は開館した頃に一度行っただけ。日曜だったから,もちろん大混雑。駐車に並び,入場に並び,店の前でまた並ぶ。ひたすら並んで待った記憶ばかりだ。「こむらさき」「大安食堂」「一風堂」と3軒食べただけで10時くらいになってしまった。「一風堂」など1階の「銭湯の壁」を見ながら2時間近く並んだと思う。当時,東京にも「博多ラーメン」の店は「ふくちゃん」くらいしかなかった。当時の「ラ博」の目的は,僕にとっては「一風堂」だったのである。しかし,である。味は「いまいち」だった。少なくとも当時はそう強く感じた。期待したほどの濃厚さがなかったのである。「こむらさき」はなおさらそう。高い割に満足感が少なければ再訪する意味はない。ましてや家族で来たのでは「コスト」に対する「満足度」が著しく下がってしまう。以来「ラ博」は一度行ったのだから充分と思っていた。
ところが,かの「ラーメン王」石神氏が第5回TVチャンピオン(TV東京)の中で「一番うまいと思う味噌ラーメン」としてラ博の「純連」をあげた事に強く興味をひかれる。札幌みそと言えば15年くらい前に「味の三平」で食べて,思ったほど濃厚でない事に拍子抜けし,以来「みそラーメン」はあまり食べなくなっていた。だから「ラ博」の「純連」にも全然興味がなかった。たいしたことないだろうと思い込んでいたのだ。今年に入り「ラーメン王」(双葉社)に掲載された未知の店を食べ歩き,その店の選択に感心していくにつれ,石神氏が推す「一番のみそ=純連」がますます気になっていたのである。
と言うわけで,今日は「新横浜ラーメン博物館」に行くことに決定。家族で「初ラ博」と言うことになる。常磐道・石岡ICから快調にデリカを飛ばし,例の如く首都高・堀切から四つ木・葛西方面へ。湾岸線で羽田ICに向かい高速を降りる。蒲田の町を抜け「第二京浜」(国道1号)を南下して15Kmほど。カーナビの指示どおりに進み「ラ博」に着いた。このとき午後1時。2時間30分ほどで到着したことになる。(インター的には第三京浜[港北] か高速横羽線[東神奈川] が近いだろう・我が家の場合「こうや@矢口渡」に行くのにいつも羽田インターで降りてるので今回もそうした。「経費節減」の意味もある)
正面玄関前にクルマが着いた。昔ほどの「大行列」はないが,入り口に「待ち時間の目安」は表示されている。30〜60分といったところ。少しくじけそうになったが「ここまで来たんだから」という妻の言葉で入場を決意。正面玄関右脇の狭いゲートから,すれ違うのもやっとのパーキングビルを上へ上へ。結局「ラ博」ビルの地上部分(2Fから上)は駐車スペースなのである。5階まであがり,狭いスペースにねじ込むように駐車してまた1階へ。いざ入場(1階に駐車代の事前精算機があるので駐車券を持っていけば帰りがスムーズだ)。大人300円・・・まぁしょうがないだろう。小人100円だし。小学生以下無料。これは助かる。入場はスムーズ。前回は向かいの空き地までとぐろを巻くように延々と並んだんことを思い出した。ありがたい。1階は展示スペース。各地のラーメン店のどんぶりがずらっと並ぶ。あとデータベース&ゲームコーナー。でもゆっくり見るのは帰りでいい。まず一杯だ。地下1階の「改札口」を出て,夕焼けの街に出る。町並み,看板,ネオンサイン,はては軒先の洗濯物・・・細部にまでこだわった昭和33年の下町がそこにある。地下1〜2階が吹き抜けで,天井に青空が描かれ照明で夕焼け空になっている。最初見た人は感動するだろう。ひとつのビルのスペースをこう利用するその発想に感心する。ラーメン好きでなくとも一見の価値はある。
「新福菜館@京都」・・・一番待ち時間が少なかったから(30分),最初に並んだ。まず食券を買ってから並べと言う。グループ・家族連れなら,手分けして並ぶのが効率的だろう。前の若者のグループが食券を買うのにやたら手間取り,イライラしてしまった。気持ちはもう「最初のひとくち」なのである。「新福そば・800円」を2杯。「拌麺・800円」それにニヌキの「味付け玉子・100円」。思ったよりも早く回転している。あらかじめ注文を聞いて,空席が出ないように効率よく座らせ,着席とほぼ同時に麺が出されると言うシステムだ。4人がけのテーブル席に座らせられる。黙っていても子供用の小どんぶりが出てくるのは親切。肝心のラーメンははっきりしたしょうゆ色。油が浮いた濃厚な味わい。それにストレート麺。もやしがのりチャーシューもやわらか。ちゃんとしている。以前来館して「大安食堂」あたりで食べた時の第一印象とだいぶ違う。少なくともデパートの物産展なんかでよくある「ご当地ラーメン」などとはレベルが違う。しっかりしたラーメンである。「新福菜館」がいつからここに出店したかはわからないが,京都の本店はどうなんだろうと期待してしまう味だ。「拌麺」は一言で言うなら温かい「油そば」。ほとんどスープが見えない。底にたまっているだけ。何もわからず,名前に惹かれて頼んだのだが,せっかくのスープを味わうためにも普通の麺を頼んだ方がいいだろう。あっという間に完食。そして満足。
「純連@札幌」・・・何も言わないのに,妻が「新福菜館」の隣にある「純連」に並ぶ。間をおかずに連食の態勢だ(笑)。もちろん僕もそのつもり。こちらの行列はベンチのある階段の途中まで。回転はよく30分ほどで席につけた。入り口は狭いが入って左奥にカウンターが続き,けっこう座る場所は多い。連食だったので,「みそラーメン・900円(高い!)」を2杯注文する。やはり小どんぶり2つが出てきたことには感謝。「大人の方は1人1杯で注文してくださるよう・・・」と書いてあるから,連食の人を想定しつつ,子供はしょうがないと言うことなのだろう。茶色のかなりしっかりしたどんぶりに盛られてきたそれは,まさに「濃厚」。味噌の味も強いが,スープの味も負けていない。それに厚い油の膜だ。麺は黄色い縮れ麺。固め。札幌の麺はこれだと言う感じのしっかりした麺だ。メンマに刻んだチャーシューも。まさに「はふはふ」と食べる親子4人組。おなかは連食で苦しいのに,なお食べたくなる一杯。これが「みそラーメン」だったのか・・・。これを食べるとたいていのみそラーメンはもの足りなくなってしまうだろう。「濃厚」さを求める「みそラーメン」好きには,これ以上の選択はないのではないか。そう感じさせる1杯だった。(ちなみに「さっぽろ純連公式ホームページ」=http://www.junren.co.jp/ というのがある。参考までに)
「いのたに@徳島」・・・期間限定の「全国ラーメン紀行」として,今回は「徳島中華そば」が出店されていた。地下1階右角のスペースである。一応食べねばなるまい。1階のギャラリーで,インターバルをおいたものの,妻と娘はさすがにパス。ショットバー「35ノット」に妻子を待たせて(なんかかっこいい?),「いのたに」に向かう「路地裏」に並ぶ。昼時の行列(角の銭湯まで)が,半分ほどになっていた。ほどなく入店。頼んだのはなんと生玉子がのるという「中華そば肉玉入り」(900円・だったと思う)。見た目はたしかに「〜風」と形容しがたい独特なもの。油っけの少ない濁ったしょうゆ色のスープに気持ち太めのストレート麺。チャーシューの代わりになんと豚バラ肉。しかも味付けがかなり濃い(しょっぱい)。それに生玉子の黄色である。ラーメンに家庭のうどんの文化が割って入ったような不思議な世界だ。うまいとかまずいとか言う前に「面白い」。でもくせにはならない味だ。しょうゆの味が強く,スープにそれなりに厚みはあるものの,まとわりつくような「濃厚さ」がないのである。東京でブレークするには,ちょっと無理がある。生玉子とバラ肉では,家庭で食べてるような気がしてしまうのだ。
「一風堂@博多」・・・以前来た時,一番期待し,そして少々がっかりした店。もっと「粘度」があるスープだと勝手に思っていたせいもある。「ラ博」へ出店後東京にも順次出店し,その後恵比寿店でも食べたことあるが,「新味」はもの足りなかった。「ラ博」で開館当時食べたのは「新味」だったのかもしれない。今の「ラ博」の「一風堂」はどうなのかはわからない。僕の周りに「ラ博」の店が一番だと言う人が複数いたからである。
「こむらさき@熊本」・・・開館当時に並んで食べて,かなりがっかりした。あえて言うならおみやげ用のセットで作ったような,浅い味だったのだ。量も少なめだった。現在どうなのかはわからないが,少なくとも当時はそう感じた。これなら「桂花@新宿」で食べれば十分だと。
「六角家@横浜」・・・家系のホープとして出店。「六角家@東神奈川」で食べて非常に気に入っている。「ラ博」にも一番近い。だからこそ,首都圏から「ラ博」に行く人はわざわざ「ラ博」で「六角家」と言う選択にはなりづらいのではないか。たとえ本店と同じ味だとしても,クルマならすぐそこで,押しも押されぬ「本店の味」を味わえるのだし・・・。
「勝丸@東京」・・・目黒の店は好きで一時よく通った。ただクルマがとめづらく,最近は久しく行ってない。「勝丸」の味は好きである。コクのあるしょうゆ味に縮れ麺。東京を代表するラーメンとは思わないが,どこか「粋な」感じのする「東京を感じさせる」ラーメンではあると思う。店の前で「あっさりしょうゆ味の東京ラーメンですよ〜」とはちまき姿のおじさんが熱心に呼び込みをしていた。年配の人には一番わかりやすいラーメンかもしれない。
「げんこつ屋@東京」・・・「いのたに」の向かい側にあった。店内も空席が目立つ。かなり以前に東京の高円寺店で食べたことがある。顔のイラストが染め抜かれた暖簾の印象が強く,その一方で味の印象は薄い。何が悪い,足りないと言うのではなく,無難にまとまっていてインパクトがないのだ。都内でチェーン展開していて(9店舗あるという),事業的にはうまくいっているのかもしれないが,「ラ博」に入った意味は,昔も今もわからない。そんな事情を大多数の客は知るはずもないのだが,正直なもので行列ができてないとますます寄り付かなくなるという悪循環みたいだ。
それにしても,昭和33年(つまり僕の生まれた年)の東京を想定したこの場所には,「郷愁」を感じる。父が元気なら連れてきたかった場所だ。そのころわが家は東京に住んでいたのだ。開館時(4〜5年前?)当時は無理に「汚し」の塗装をしている感じだった。が,今ではそのまんま古い感じが出ている。町並みの掃除とかしなくていいのだから楽かもしれない(?)。当時,いつまでもつかなぁと思っていたのだが,今でも観光バスのコースになるほどの盛況。狙いは外れてなかったのかもしれない。バブルの頃に立ち上げた商売としては,かなり珍しいのではないだろうか。
「立ち飲み/三杯屋」・・・中央の広場で本当に「立ち飲み」,面白いが「純連」の行列が目の前にあり,人の往来も激しいから,ますます落ち着いて飲めなくなる。広場が空いてるときに飲めば,なんかうら寂しい感じがして雰囲気が出て楽しいかもしれない。その前の綿菓子の屋台で「おじさんメーク」をした,若い店員に非常に時間をかけて(慣れてないみたい)常識外にでかい綿菓子(それでも200円・安い)を娘2人に買ってやる。お祭りなんかではなかなか買ってもらえない(500円とかして馬鹿らしいもの)ので,大喜び。思わず記念写真。あっ「ラ博」は写真撮影全く自由だそうで,町内会といったはっぴを着ているスタッフに頼めば気軽に撮ってもらえる。もっとも喜んで写真を撮っていたのは我が家くらいだったが・・・。
「駄菓子屋/夕焼け商店」・・・・・地下1階の銭湯への角にあるのだが,なんと入店するのに行列していた。狭い店なのだ。
「ショットバー/35ノット」・・・・・昼間はコーヒーなんかも飲める。背の高い丸テーブルに,背の高い丸イス。「波止場のショットバー」と言うイメージだそうだ。ここでなら喫煙もできる。ラーメン連食のインターバルに利用しようか。でも「ラ博」でそれほど「連食」(3〜4杯と)するなんて僕くらいかもしれないなぁ・・・。
「グッズショップ・1F」おみやげ・・・・・子供が選んだおみやげはナルトのキーホルダー。僕もボールペン・ライター・灰皿・コップ等のラーメングッズをそろえる。いわゆる観光地値段よりは安めの設定で買いやすい。おみやげ用の持ち帰り生麺セットなんてのも各店ごとにあったが,ちょっとわからない。最低限スープは原液(薄めなくて済むもの)でなければならないと思うが,それとてなかなかその店の「勢い」までは再現できないからだ。さらに,書籍コーナーにあった「ラーメン関係」の本を,手当たり次第に買ってしまう。5000円分くらい。HPの貴重な参考文献なのだ。参考までに,それらは以下の通り。

「超凄いラーメン」(武内伸著・潮出出版・971円)
「日本ラーメン大全・なるとの謎,シナチクの神秘」(飯田橋ラーメン研究会・光文社文庫・495円)
「ベストオブラーメンin Pocket」(麺sCLUB編・文春文庫・660円)
「にっぽんラーメン物語」(小菅桂子著・講談社+α文庫・740円)
「ラーメンの秘密・ほんものの味をもとめて」(コピー食品研究会編著・三一新書・800円)

ふと気がつけば,入場してすぐの右壁に「日本で一番最初にラーメンを食べたのは水戸黄門さんである」と書いた大きなパネルが飾ってあった。地元では繰り返し聞かされてきた話だが,「ラ博」でこう宣言してくれるなら,これからはもっと堂々と「水戸」を自慢にして行こう(と思ったりして・・・)。ハンドルが「水戸黄麺」だし。

新横浜ラーメン博物館』の公式HP=http://www.raumen.co.jp/

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