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ラーメンは『女』である。 【1999/07】

ラーメンは「女」である。
そりゃぁ無化調(=天然物)でうまいならそれに越したことないが,
化調(化粧)でうまくなるのなら,それはそれでいいことだ。
「味」が安定するというメリットもある。要は程度問題なのである。
そもそも完全無化調なんて,なかなかない。
それに,この世から化粧がなくなったらそれこそ「味気ない」。

ラーメンは「女」である。
若いうちは「こってり」が,
歳とともに「あっさり」が好きになっていくのかというと,そうでもない。
健康に良くないと思いつつも「こってり」を追い求めて,
「体」どころか「家庭」まで壊してしまった人が,いるとかいないとか。
ほどほどが肝心だ。「こってり」は必要があってそうしているのではなく,
特長を出すための手段なのである。
惑わされてはいけない。

ラーメンは「女」である。
ふと昔のことを思い出して,
久々にそこを訪ねた場合かなりな確率で「失望」する。
でも,そのうちそれも青春だったと肯定するようになる。
お互いに同じだけ時間が流れているのだ。
それに「好み」は変わっていくものなのである。

ラーメンは「女」である。
設備投資をいくらしても,肝心の味が伴わなければ,利益は上がらない。
敵は浮気な「客」なのである。

ラーメンは「女」である。
味が違えば連食も苦にならない(ラーメンの話です)。
1日に4食だって平気だ(ラーメンをです)。
値段だってたかが知れてる(もちろんラーメンがです)。
連食は無理でも,毎日違った味を味わえるなら幸せかも知れない(・・・・・)。

ラーメンは「女」である。
食べた数を自慢しても始まらない。しかし,食べなきゃ始まらない。
「お気に入り」は一つで満足できないのが普通だ。
数をこなして自分の求める「味」をさがす。やはり数をこなさなくてはならない。
ときには浮気も必要だ(ラーメンのことで・・・わかってますよね)。

ラーメンは「女」である。
じらされるのは嫌いだ。
「今できあがったのが僕のだな」なんて思ったら,目の前を通り過ぎてく。
「今から茹でるの・・・?」。
さんざんじらされたあげく,フラれたのでは目もあてられない。

ラーメンは「女」である。
隣の芝生は青く見える。隣の人のラーメンはうまそうにみえる。
人の彼女がよく見えるように。
まぁ,ラーメンは次の機会にそっちを頼めばいいから,そんなに悩むことではないのだが・・・

ラーメンは「女」である。
まずそのままの味でいただくべきである。
食べる前からコショウや酢をかけるのは失礼だ。
自分の「色」に染めるのは,ある程度つき合いが深くなってからにすべきである。

ラーメンは「女」である。
初めての場合は緊張する。全てが新鮮に見える。
だから,ひとくち食べての第一印象が大切だ。
後々その印象が一番正しかったりするからだ。
その味に慣れて,「馴染み」になってしまうと,なかなか別れを告げられない。
だらだらと「関係」が続いてしまったりする。

ラーメンは「女」である。
結婚とは,「おいしいラーメンを一つ選べ」と言われてるようなものだ。
その時点で一番好みの味だったとしても,一生それが変わらないと言う保証はない。
一生愛し続けることが出来るものに出会えた人は幸せである。
もちろん,僕は・・・「幸せ」である (^_^;)

ラーメンは「女」である。
人の「好み」にケチをつけてはいけない。
育った環境が違えば好みは違ってくるのだ。
他人から見れば魅力のないものでも,
その人にとっては大切な何かがあるのかも知れない。
その人の生活圏の中で,最良の選択なのかも知れないのだ。
人の好みにケチ付ける人が一番困る質問は「自分の好み」なのである。
人の彼女の悪口言って,後で笑われるのはその人自身であるように。

ラーメンは「女」である。
やはり質素で清潔感があるほうがいい。
派手なのはかえってその質を下げるように思える。
そもそも,結局は「味」なのだ。
気に入れば長いつきあいになるのだから,選択は慎重にしなければならない。
時間と金を無駄にしないように。
でも遊びなら,たまには派手なのもいいかもしれない(ラーメンのことですよ)。

ラーメンは「女」である。
高そうななどんぶりに盛られたラーメンは,それだけでうまそうにも見える。
着飾った女性が華やかなように。
しかし,ラーメンは眺めているだけでは始まらない。
食べてたいしたことなければ,見た目にかけた金が無駄に思えてくる。 
もっと中身を磨けと。

ラーメンは「女」である。
つまり「気分屋」なのだ。多少の波は許してやる度量が必要である。
いつも100点を求めてはいけない。それが永くつき合っていくコツだ。
いつも完璧な「ラーメン」は存在しない。完璧な「女」がいないのと同じだ。
どちらも「ナマモノ」なのだ。

ラーメンは「女」である。
何気ない心遣いが心にしみるときがある。
笑顔一つで心が和むこともある。
みんなホッとしたいのだ。
いい出会いがあると,それだけで幸せな気分にもなれる。
明日への気力がわいてくる。

ラーメンは「女」である。
その店に行くと思い出す人がいる。
左手で髪を抑えながら音を立てずに食べていた。
神宮球場,野球応援の帰り道,立ち食いのラーメン屋・・・
誘ったのは僕なのに「割り勘にしましょう」と言ってくれた。
学生時代,金なんていつもなかった。

だからラーメンだったのだ。

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ラーメンは『男』でもある。

女性の皆さん,失礼しました。もちろんちゃんとフォローしてあります。

ラーメンは「男」である。
脂ぎったラーメンはたいていの場合嫌われる。
しかし中にはその方がいいという女性も確かにいる。
同様にボリュームを抑えてヘルシーになんて言っても,もの足りない人はいるのだ。
現代の女性はいろいろとストレスをかかえている。
相手方に望むものも時代とともに変わってきているのだ。

ラーメンは「男」である。
何が一番大切か?
麺?スープ?値段?立地条件?売れてる店がいい?田舎の店は嫌?チェーン店は?
いずれにせよ行列が出来る店には「売り切れ」がある。
あなたにとっての最良の一杯は何?

ラーメンは「男」である。
まず味噌か醤油かで悩む。たまにはさっぱりと塩あじもいいかも。
そしてあっさりかこってりかでも,また悩む。
いずれにせよトッピングは,まず基本となるラーメンを味わってからの方がいい。
そうしないと本来の味がわかりづらくなる。
トッピングはあとで追加もできるのだから・・・

ラーメンは「男」である。
地方で食べるときは「やさしさ」が必要だ。
全てに「東京レベル」を求めてはいけない。
東京の行列とは質が違うと思うべきだ。観光地では特にそう思う。
逆に,旅先で偶然出会い,とても素敵に思えたのに,
東京で冷静に考えたらイマイチだった,ってのはよく聞く話だ。

ラーメンは「男」である。
理屈っぽいラーメンがある。

理屈だけのラーメンもある。
そして,理屈抜きでうまいラーメンがある。
一本スジが通っている方がいい。

これはまだまだいろいろ思いつきそうだ。(1999/07/16)


独善的ラーメン論INDEX

  0.    『ラーメン論・序論』

  1. ラーメン食べ歩きを始めたのは
  2. ラーメンを食べ歩く意味
  3. 「うまいラーメン」とは結局なんなのか
  4. では「うまいラーメン店」とはどういう店なのか
  5. ラーメン連食の正当性を論証する
  6. ラーメン屋さんでのマナーについて考える
  7. 「まずいラーメン」は「まずい」と言ってもいいのか
  8. 人気ラーメン店の行列についての一考察
  9. 人に紹介されたラーメン店のことなど
  10. 「まずいラーメン論争」を総括する
  11. ラーメンは『女』である。
  12. 「ラーメンを愛するということ」
  13. ラーメン店での「相席」の問題について
  14. 『夫婦とは一杯のラーメンのようなもので』
  15. たかがラーメン,されどラーメン,でもラーメン(改定版)
  16. それでも僕は都(みやこ)をめざす《掲示板の功罪》
  17. ラーメンは『絵画鑑賞』のようなものなのだ
  18. 『ドシロウト』が語るラーメンへの熱き想い

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