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ラーメン屋でのマナーについて考える 【1999/05】


待ちに待ったラーメンが運ばれてきて「さあ食べるぞ」と思ったら,隣の妻が「FOCUS」をまだ名残惜しそうに見ている。思わずまずラーメンを食べるんだと言ってしまった。優しい旦那さんならこんなこと言わないと思うが,これがわが家のルールなのである。麺の固さがどうのこうの,スープが熱いのぬるいのと言うんだから,ラーメンは出されたら即食べなければならない。漫画を読みながらなんてもってのほかである。麺あげのタイミングに細心の注意を払ってる店なら,これはもう最低限の礼儀である。

「おしゃべり」もしたくない。「おいしいねえ,スープが云々・・」なんて妻が言ったりすると「黙ってろ」と言いたくなる(言えないけど)。そんなことは目で合図でもしてくれりゃ十分だし,店を出てから批評し合えばいい。旨いと思うから連れてきたのだ。若いアベックなんかが来て,女の子がやたら「おいしい」を連発するのも閉口する。いいから早く食えと言いたくなる(言えるわけないけど)。そんな子に限って「おいしいけどおなか一杯で・・・」とか言って残したりする。彼氏はただただ苦笑い。せっかく調べてきたのにね。

とにかくラーメンは休まず食べるのが正しい。女の子が豪快にラーメンを食べているのを見るとうれしくなる。逆に「本当はラーメンなんか普段食べたこと無いんだけど・・・」てな感じで,レンゲに麺を一口づつのせてちまちまと食べてるのを見せられた日にゃ,CMじゃないけど「邪道だ。それは邪道だ」と注意したくなる(できないけど)。

ちなみに僕の妻は基本的にスープも飲みきる。レンゲがなかったらどんぶりもって飲む。それが「ホープ軒」の大盛りであってもきれいに食べきる。「よくぞここまで・・・」とラーメン食べ歩きをライフワークにしてきた僕は感涙にむせぶのだ。回りの客は(時には店主も)あきれるけど・・・。8才と4才の娘達も,家でみそ汁は残してもうまいラーメン店のスープは残さない。「スープもっと」とスープの取り合いだ。これでいいと思っている。塩分云々なんて関係ない(毎日食べてるわけじゃないもの)。そもそも残さずきれいに食べられて,うれしくないラーメン店なんてありえない。あの「さぶちゃん」でさえ子供が残さず食べたら笑ってくれた。

茨城のある店で,5人くらい客が待っているのに食べ終わっても雑誌を読んでいる客に,店のおかみさんが「雑誌読むなら後ろで読んで」と注意していた。客は憮然として帰っていったが(後ろの空き待ちの席で読めるわけがない),これも並んでいる店なら最低限のマナーである。待っている人は食べてる人が思う以上に食べ具合を観察しているものである。

同様に,ビールをゆっくり飲んでいられるのも困る。店で出しているものだからしょうがないが,並んでいる店なら遠慮して欲しいものだ。「山頭火」で後ろに10人くらい待っているのに「ご注文は」と聞かれて「とりあえずビール,麺は飲んでから」と言ったカップルがいた。店員はムッとしていた。再度「麺は」と聞かれて渋々注文していたが,当然である。ビールはラーメンができるまでにちょっと飲めばいいだろう(とくに人気店では)。

あとタバコ。僕はタバコは吸うが,ラーメン店(を筆頭に食事をする店全般)では吸わない。カウンターで食べてるときなど隣の人にタバコを吸われると頭にくる。せっかくのラーメンの香りが台無しになる。注意したくなるが,「ここはラーメン屋だろう。何をエラソウニ」なんて言われそうだ。ただ,その時の答えは昔から用意してある。タバコを吸いながらラーメン食べてみなよ。僕の今の気持ちが分かるから。でも言ったことは未だ無い。ただ鼻から息をするのを止めるだけである。

席が一杯で中途半端な席に座っていたりすると,後から来たグループのために席をずれるタイミングでも悩む。「自分が今ずらしてもその向こうの人が食べ終わらなければ意味がないし云々・・・」などと考えてそわそわしまう。店の人に指示してもらうと楽だったりするが,店側にも遠慮があることが多い。わが家は家族連れのことが多いので,カウンターのみの店なんかでは「あの人がずれてくれればなあ・・・」と思っていたりするから,逆の立場の気持ちもよくわかるのだ。小さい子供と離れて座るといろいろと面倒なのである。

でもいい大人の(しかも男の)グループが混んでるのに並んで座ることにこだわっているのを見ると小学生か,おまえらはと心の中でつぶやいてしまう。ラーメン食べるだけなんだから迷子になるわけがない

いずれにせよ,親切にずれてもらった場合にはすいませんとさりげなくお礼を言うべし。また,譲ったのにノーリアクションは失礼だと思う。視線を合わせなくても一言小声で言えば気持ちも通じる。これも最低限のマナーだと思う。居心地悪い状態で食べても,食べてるようじゃないでしょう? 気持ちよく食べればラーメンもさらにおいしくいただけるのだ。(1999/05/27)

『ラーメン論・序論』

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