GO HOME BACK

「茨城ラーメン本」発刊までのいきさつ (2000/11)part.2

act6  真夏の取材奮闘記その2
act7  掲載できなかった店・掲載したかった店 > part.3
 act8 あとがき・これからの茨城のラーメンは・・・ > part.3

>>>> 『どんぶり会議』上の 『茨城ラーメン本』統合スレッド』

> part.1 act1 〜act5> part.3 act7 〜act8

<TOP>
 act6 真夏の取材奮闘記 その2−1(取材担当店の個別コメント)

ここでは実際に取材した各々の店について,取材時の裏話等もっと詳しく書いてみたい。

最後に各店のデータと実際に書いた紹介文も載せてみた。掲載された文面と比べてみるのも面白いかもしれない(ほとんど変わらないと思うが・・・)。

7月23日(日)朝日屋@石岡
7月24日(月)匠家@水戸駅南
7月27日(木)大宝@ひたちなか
7月28日(金)ラッキー飯店@水戸
7月30日(日)龍愛餐館@水戸・開江
7月30日(日)浜の宮食堂@日立
7月31日(月)げんこつや@那珂町

8月01日(火)玄海@水戸・堀町
8月02日(水)西海@美野里
8月03日(木)暖宝@ひたちなか・金上
8月03日(木)松五郎@上水戸
8月09日(水)オクチャン@常陸太田
8月10日(木)ガドガド@阿字ヶ浦
8月20日(日)横浜ラーメン味味@茨城町
8月20日(日)伊勢屋@水戸・下市

取材以前に食べた時の報告は各店の日記の表題の「店名」をクリックすべし。

<TOP>

7月23日(日)朝日屋@石岡

まず最初の取材はこの店からだった。日曜の暑い昼下がり。カウンターのみの狭い店内,うまい具合に先客は2人。この店自体,前回のラーメン本に出ている(表紙のラーメンはこの店のものだそうな)ので,まぁ応対は慣れた感じである。と言うかこちらの方が緊張して無意味な笑みが多かった(汗)。話があっちこっちに飛んでどこまで聞いたかわからなくなった時に,カメさんが作ってくれたEXEL取材フォームが役に立つ。うっかり「おすすめは?」と聞いたら400円のラーメンでなく700円の「特製たんめん」(通称「とくたんめん」)がいいと,おかみさんが何度も強調する。で,食べてみたのだがそれほどインパクトがない。これでは紹介記事が書けないとラーメンを追加。もっとも僕がそう感じただけで,後の客はほぼみんな「特たんめん」を注文している。おかみさんが僕の方を見て「にやっ」と笑う。結局,後から来た馴染み客らしい家族連れまで巻き込んで午後4時から1時間以上,かかってしまった。その上餃子まで食べて行く羽目に。馴染み客のお父さん(と言っても同世代)が奥さんの分を味見して行けと言うのだ・・・(1個だけいただく・僕は餃子は不得意なのだ)。2杯の代金1100円だしたら「けっこうですよ」と言われて「あっすいませ〜ん」と引っ込める。自宅から往復80kmかかっているし,まぁこのくらいは勘弁してもらおう。

店名】朝日屋
【住所】石岡市国府3-3-25
【電話】0299-22-2788
【営業時間】11:30〜19:00
【座席数】カウンター8席・2席テーブル*1・計10席
【定休日】月休
【駐車場】有(店舗前美容室脇に2台)
【掲載メニュー】ラーメン:400円
【主なメニュー】ラーメン:400円/たんめん:500円/焼肉めん(=チャーシューメン)650円/特製タンメン:700円
【行き方】
石岡市の中心部を南北に走る国道355号「石岡駅入口」交差点のひとつ南側の金物店(こまつ)のT字路を入ってすぐ右側。
【キャッチコピー】
創業40年,馴染み客で賑わうレトロな店の「こだわりの一杯」
【紹介文】
「ラーメンの麺は固いのがいいんだよ。柔らかいの食いたきゃうどんでも食えってんだ」小柄な店主が笑って言った。なるほどキラキラと油の浮いた,この昔ながらの少し甘目のスープには固めの麺がよく似合う。その言葉にはこの道40年の自信があふれている。「でもね」傍らのおかみさんが苦笑い。「お馴染みのお客さんの好みには応えなきゃね。お年寄りには柔らかくしなきゃ。あと麺少なめにして一緒の人にまわしたりしてね。喜ぶのね,全部食べられたって。」こんな優しい心遣いの夫婦の店。馴染み客が多いのもうなずける。たんめんを頼む人も多いようだ。それも精肉店だった技術を活かし,余分な脂身をそぎおとしたチャーシューが5枚のる「特製たんめん」が人気。夕方5時半になると狭い調理場の片隅の台で,店主が皮から「餃子」を作り始める。こだわりの一品。常連はみなこれを頼む。ラーメン,たんめん,餃子,一通り食べて初めてこの昔の商家のようなレトロな店の良さがわかるのかもしれない。

<TOP>

7月24日(月)匠家@水戸駅南

この店の若い店主の「無愛想」ぶりは地元では有名だが,まぁ僕自身は「ラーメン店のオヤジに無駄な愛想はいらない」と常々思っている(うまけりゃいいのだ・そんな店は東京ならいくらでもある)のでそんなに気にならない。でも取材となると話は別だ。話さなければならないもの。ちょっと(かなり?)苦手なタイプである。.実は以前,ここの店主が店の前でたむろして騒いでいたヤンキーの兄ちゃんをじろっと見て(「ガントバシテ」とも言う),おもむろに調理場から出て行き一言二言で追い払ったのを見てからはその感を強くしている。タダモノデハナイ。僕も開店当初から週に一度のペースで通ってきたので,顔を見れば「ほうれん草・固めですね」と言われるようにはなったが,別に今もなお愛想良く迎えられるわけではない。馴染み客の扱いには程遠いのだ(そういうのを望んでいるわけでもないが・・・)。そんなわけで,意を決して訪ねたのは月曜夜の9時半過ぎ。案の定,10時まで営業の店は売り切れでもう閉まっていて,お弟子さんが調理場を掃除している。開かない自動ドアをノックして開けてもらう。「いつもの客が何だろう」と言う感じ。茨城新聞社の名刺を差し出しても今一歩理解できないみたいだ。まさに「何であなたが取材に来るの?」と言う感じ。奥の部屋にいた店主がシャツ姿のまま出てきた。一通り取材の趣旨を説明する。でも,これは事前の打ち合わせとでも思ったのか,「あっ,今から取材をするんですか」との反応。でもまぁいい。もうここまできたら一気に片づけたい。元々この店のことは取材なしでも書けるのである。確認のための取材のようなもの。まず,ここの店主年齢不詳だったが意外に若いことに驚いた。店名の『匠』の意味は漢字そのままの意味(「名匠」とかの)だそうな。自分の名前とかそんな意味合いはない模様。もちろん東京にある匠屋@新小岩,匠家@練馬とは全く関係ない。出身は水戸。湘南家で修行したと言うが,正確には「六角家」出身の兄弟子について「湘南家」に行ったと言うことらしい(はっきりとは言わなかった)。六角家の系統の割には,味が「マイルド」系かな。ところで,この時の実際の応対は,アポ無しの突撃取材にもかかわらず実に丁寧で,礼儀正しい「若者」という感じだった。すると,しばし問題になる店での態度は「パフォ−マンス」か,それとも「家系の伝統」か・・・・。

【店名】匠家
【住所】水戸市中央2-2-1  アーバンスタービル1F
【電話】掲載不可
【営業時間】11:30〜22:00(売切れ終了)
【座席数】カウンター15席のみ
【定休日】金休
【駐車場】無
【掲載メニュー】ラーメン:550円
【主なメニュー】ラーメン:550円・中盛:650円・大盛:750円
チャーシュー・キャベチャ・ねぎ・バター等トッピング各種(50〜300円)
【行き方】
水戸駅南通りを千波湖方面へ向かい「市役所入口」交差点を北進してすぐ左。ローソンの奥。
【キャッチコピー】
水戸で味わえる本場の「家系ラーメン」 とんこつ醤油に太麺で勝負
【紹介文】
「うちはラーメンだけで勝負していますから」まだ二十代半ばの若い店主の目は自信に満ちている。いわゆる「家系」ラーメン,神奈川の人気店・湘南家で修行し平成10年に地元・水戸に初めてこの「家系」ラーメンを持ち込んだ。そのスープは大量のゲンコツ・背ガラ・トリガラ・昆布等を煮込んだ濃厚なもの。鶏脂が浮き独特の甘味があるのが特徴。味は醤油味のみ。麺は東京から取り寄せる特注の太麺だ。もちろんこのラーメン自体,万人受けするタイプのものではない。人によってはくどく感じるかもしれない。でも「はまる」味だ。こってり好きならクセになる。スープの濃さ,油の量,麺の固さは細かく注文に応じてくれる。好みの加減を見つけたい。ちなみにこの店は禁煙。「だってラーメンを食べるところですからね」と店主。至極当然のことのようだ。開業後わずかな期間で若者の圧倒的支持を受ける人気店を作ったこの店主の,一杯のラーメンへのこだわりは半端ではない。

<TOP>

7月27日(木)大宝@ひたちなか

前回のラーメン本にも掲載された店。金上の『暖宝』とは親戚関係(店主から見ると暖宝の店主は叔父さん)になるそうだ。つまり母上が暖宝から独立してこの店を作ったという関係。ところでこの店,若い店主夫婦でがんばる店だとずっと思っていたのだが,てっきり奥さんだと思っていた感じのいい女性は実は店主の義姉つまり兄上のお嫁さんだそうだ。ちょっと不思議な「家族経営」である。この店の僕の昔からのお気に入りは「もやしラーメン」,取材時には掲載メニューもそれで行く(チャーシューを載せる特別メニュー)と言うことでまとまったのだが,後日カメラマンが写真を撮りに行ったら「掲載メニュー」を変えてもらいたいとのリクエスト。基本的に掲載メニューは取材者(つまり僕)の好みで決めていいことになっているのだが,そう言っても応じてくれないと困った茨城新聞社の担当者から電話があった。急いで訪ねてみると「馴染み客に聞いたら,本を見て初めて来た客がこの『もやし』を食べても次は来てくれないのではと言われたから」と言うのがその理由。わからないでもないが,それをすすめている「ラーメン好き」でおまけにこの店の推薦者である僕って何?でも馴染み客の意見の方が大事なのはしょうがない。掲載メニューを「チャーシュー麺」にすると言うことで解決する。もちろん,一度送った原稿は書き直しである・・・。以下は書き直し前の文章。

【店名】大宝
(ダイホウ)
【住所】ひたちなか市南神敷台3667
【電話】029-263-2481
【営業時間】11:30〜19:30
【座席数】20席 4人テーブル×3 小上がり4人テーブル×2
【定休日】月休
【駐車場】有・10台
【掲載メニュー】もやしラーメン・チャーシューのせ:750円
【主なメニュー】ラーメン:500円・チャーシュー麺:700円・坦々麺:600円・味噌ラーメン:600円・炸醤麺:700円
【行き方】
R245・湊大橋北側の交差点を那珂湊市街地に向かって東進しケーズデンキの交差点を左折。湊線踏切を越え4つ目の信号(セイブの先の信号)を那珂湊中方面に右折。東消防署隣。
【キャッチコピー】
伝統の味を家族で継承する 麺はこだわりの自家製麺
【紹介文】
「母の作り出した味を守るってことですかね」鉄工所の敷地内にぽつんと建つ10坪ほどの一戸建て。そっけない店の外観からすれば意外に若い,30代前半の店主が照れくさそうに笑った。店の佇まい自体はあまりそそられるタイプではない。しかしそのラーメンは正統派。同市内の「暖宝」や東京の有名店「満月」とは親戚関係だそうだ。開店して20年,最近はこの2代目店主が店を仕切っている。いまなお自家製麺にこだわり,自宅で打つ麺はやや太目。粉の配合はもちろんオリジナル。手もみでほどよい縮れをつくり独特の食感を作り出す。スープの材料はトンコツ・野菜・煮干し・鰹節・昆布等々。あっさりした和風スープにはコクがあり,これにシャキッと炒められたもやしがのる「もやしラーメン」がおすすめ。野菜の炒め油でこってり感も出る。すりゴマのかかったメンマがのるのも珍しい。メニューにはないが,肉厚のしっかりした豚ロース・チャーシューを追加すれば完璧だ。

<TOP>

7月28日(金)ラッキー飯店@水戸

元吉田のこの店,水戸周辺には多い「スタミナラーメン」の店なのだが,初めて行ったとき(1999/12/15)その変わった店の名前と,3種しかないメニュー,きりっと髪をバックにして不機嫌そうに調理している店主の印象が強く(橋本元首相みたいだと思ったくらい),「メニューを絞ってラーメンで勝負しているんだな」と一方的に思いこんで掲載店に加えた。ところが取材許可が出て再訪してみると店主の印象が違う。髪型は普通になり,口をへの字にして作っていた印象は消し飛び,普通のにこやかな人に変わっていた。店主が変わったのかなと思ったくらい。変わった店名も以前の経営者のものをそのまま使っているだけだと言うし,以前は奥さんとやっていたけど1人でやるようになり,「チャーハン」とかやっている時間が無くなったからメニューを3種に絞ったと言うし・・・。なんかネタ的にはすべて気が抜けてしまったのである。同じスタミナ系で「松五郎」と「玄海」はどうしてもはずせないし,「スタミナ系」がだぶっているからどうしようかなと思ったが,後の祭り。取材後に変更するわけにもいかないし・・・。もちろん市毛の「寅さん」出身で「ひがの製麺所」の太麺を使うこの店の「スタミナ」自体は良いとは思う。以前から知る人ぞ知る店である。ただ「松五郎」「玄海」と並べて書くには今一歩特徴がないかなと思ったのも確か・・・。

【店名】ラッキー飯店
(ラッキーハンテン)
【住所】水戸市元吉田町1507
【電話】029-247-6945
【営業時間】11:00〜15:00/17:00〜21:00
【座席数】15席 カウンター:7席 小上がり4人テーブル*2
【定休日】木休
【駐車場】有・6台
【掲載メニュー】スタミナ冷やし:600円
【主なメニュー】スタミナラーメン:600円スタミナ冷やし:600円みそラーメン:600円
【行き方】
R6からR50バイパスを西進し,二つ目の「ライトオン」の交差点を南折。信号をひとつ超えた左側。
【キャッチコピー】
メニューは全部で3種類 「ホット」か「冷やし」か「味噌」か・・・
【紹介文】
「ラッキー飯店」と言う店名にもかかわらずメニューは3種しかない。しかも麺類のみ。それも壁の上のほうに短冊で張り紙してあるだけ。値段さえ書いていない。不思議な店だが,5年前に前の経営者の店をそのまま受け継いで,看板をそのままにしたからと言うのが真相。田彦の「寅さんラーメン」で修行し,独立したこの店主にあまり気負いはないようだ。お客のほとんどは「スタミナ」を注文する。野菜類にレバー・カボチャを加えて炒め甘辛のあんかけにしたもの。それを醤油味のラーメンにかける。「冷やし」の場合は,冷水でしめた麺にからめる。その甘辛のバランスに惹かれ,地元で圧倒的な支持を受けるポピュラーなラーメンだ。水戸・ひたちなかにこのメニューを出す店が多数ある。系統は様々だが,各店の微妙な味と麺の違いを楽しみたい。この店はその中のひとつの選択肢。表示はないが麺の玉数の注文にも応じてくれるようだ。1.5玉くらいが丁度いいだろうか。

<TOP>

7月30日(日)龍愛餐館@水戸・開江

この店のネタ元はエミーさんの「水戸食べ歩記」。その掲示板で話題になっていて,後に食べに行って気に入った店。本来「中華料理系」の店は「具で勝負」と言う傾向が強く,ラーメンの基本となる麺とスープにそれほど気を使わない場合が多い。もちろんそれでも一般的には「美味しいラーメン」と言えるのだが,やはり「ラーメンの本」である以上,具が無くてもこだわりが感じられる店が良い。この店の麺はやや太めで多加水のつるつるした麺。東京渋谷の台南担仔麺の麺のように「台南式屋台そば」のイメージ。それが気に入ってしまった。もっとも最初に食べた時は「坦々麺」だったので,この取材日ちょっと前(7月26日)にラーメン(清湯麺=チンタンメン)を食べに行っている。チェックしておこうと思ったのだ。 わずかに醤油色のスープ(味付けははっきりしている)に前述の麺,それに厚めのチャーシューと焦がしネギが浮いてとてもいい感じ。まさに「担仔麺」を思い出した。これも捨てがたい。けっきょく取材当日に奥さん(この人が実に饒舌な方で,「薬膳」の話を聞いているだけで健康になれそうである)に聞いて,写真付きで掲載するのは,本来の看板メニュー「坦々麺」で行くことに決定する。済生会病院近くの普通の民家が並ぶなんでもない通りにあるこの店,店内外は意外に今風の落ち着いた造りで,ちょっと洒落て行くのにもおすすめの店である。余談だが,二度目にラーメンを食べに行ったときに,ランチメニューにないラーメン(清湯麺)を注文しため,奥さんは僕を同業者の偵察と思ったそうだ。でも嫌がらせだとわざと残したりするのに,そうでもなく最後まで食べていったので,おかしいなぁと思ったたとか。それだけ怪しげだったのだろう。

【店名】龍愛餐館(ロンアイサンカン)
【住所】水戸市開江町653-8
【電話】029-253-5094
【営業時間】11:30〜14:00/17:00〜22:00(21:30 LO)
【座席数】カウンター4席・10人テーブル*1・6人テーブル*2・4人テーブル*4・計42席
【定休日】月休
【駐車場】有・店前6台+向い側に20台
【掲載メニュー】坦々麺(ホウレン草):750円
【主なメニュー】
清湯麺(チンタンメン=ラーメン):500円
炸醤麺(ザージャンメン=みそ冷やし):750円
大滷麺(タールーメン=五目野菜入り):800円
素菜湯麺(スーツアイタンメン=野菜タンメン):700円
【行き方】
国道50号赤塚郵便局の交差点を済生会病院側に曲がる。渡里方面からの「済生会病院入り口」の看板のあるT字路(とんかつの「富勝」がある)の手前2番目の奥まったところ。
【キャッチコピー】
「医食同源」にこだわる珠玉の味 「大切な人」と訪ねたい洒落た店
【紹介文】
水戸郊外の平凡な風景に溶け込む隠れ家的佇まいの店。餐館とはちょっと洒落たレストランと言う意味らしい。「ゆったり食事をして語り合える空間」をイメージして設計された店内はおよそ中華のイメージではない。黒が基調の落ち着いた造りのこの店,基本的には台湾料理の店だ。しかも「医食同源」に徹底的にこだわっている。食事をとりながら元気になるよう,自然の素材,旬のものを活かして体にいい素材に変えていくというのがコンセプト。麺類の看板メニューは「坦々麺」。内臓を暖め,体のためのエネルギー源をとるわけだ。ニラの代わりにホウレン草も選べるのが面白い。スープはゴマだれ。バジルを漬け込んだ酢が独特の酸味を出す。麺はもちろん無かん水。つるつるしたもので,柔らかめだがコシがある。具の粗めの豚挽き肉がいい。噛む力をつけるため,なんと軟骨まで一緒に挽いたもので,実に心地よい固さ。薄い醤油色のスープに焦がし葱が浮いた清湯麺もおすすめだ。

<TOP>

7月30日(日)浜の宮食堂@日立

日立一高の東側を,6号に平行して走る幹線道路(最終的には6号に合流する道)の中ほど「高野療術院」の交差点を東に折れて,常磐線超え右側。 まわりは商店街でもなんでもなく,黄土色で三角形の店の前面の壁がよく目立つ。店内は中央に向かい合わせのカウンターがある変わった造り。日曜午後4時過ぎでも席は8割方埋まっていた。油が浮いて,その油っ気でこってりした感じの中華そばは500円。 キクラゲまでのって具だくさんな印象。 固めの極細縮れ麺でとても食べやすくけっこう特徴があると思い掲載決定。地元の人に昔から人気があるのもよくわかると思ったのだが,食べ尽くし隊県北メンバーのライムさん,さとちんさんは否定的だった。でも僕的には満足するタイプなので強引に(?)決定。取材のこの日も龍愛餐館からの連食でけっこうきつかったのだが,まさに「職人」と言った感じのご主人とじっくり話すことができた。店内には「尾崎紀世彦」(←若い人は知らないレコ大歌手)の写真・サインがずいぶんあった。聞いたら日立に仕事で来るたび寄るそうな。決して高級な感じのするラーメンではないのだが,ある年代の人(昭和20〜30年代生まれ)にはなんとなく懐かしい感じのするラーメンだと思う。茨城県内の店・徹底攻略月間 【県北編】 参照

【店名】浜の宮食堂(はまのみやしょくどう)
【住所】日立市東町3−1−18
【電話】0294‐22‐3500
【営業時間】11:00〜20:00
【座席数】32席(4人掛けテーブル*5台・カウンター12席)
【定休日】木休
【駐車場】有・8台
【掲載メニュー】中華そば:500円
【主なメニュー】ミソラーメン:600円タンメン:650円ワンタンメン:650円チャーシューメン:750円
【行き方】
平和通りから日立一高の西側を通り警察署に向かう幹線道路の中ほどの「高野療術院」の交差点を東に折れて,常磐線超え右側。
【キャッチコピー】
すべての素材に意味がある。 ラーメン職人の歴史を感じる一杯。
【紹介文】
「スープは生き物なんです。気が抜けません」いかにも頑固な職人と言った風貌の年配の店主が低い声で「ラーメン」を語り始めた。水をアルカリイオン水に変えてからは特にトンコツとトリガラのバランスに細心の注意を払うと言う。スープには油が膜を作り,その自然の甘味が,縮れの強い固めの細麺によくからむ。この特長ある麺は卵白の粉末を練り込み,生地を充分ねかせたもの。それに肩ロースを最後に蒸して塩分を抜いたチャーシューが2枚。短冊に切ったシナチクはそのコリコリ感にこだわったもの。店主が若い頃,浅草六区で食べた支那そばのイメージという。ラーメンがごちそうだった頃の話だ。キクラゲにキヌサヤが彩りを添える。変わった組み合わせだが,昭和30年代後半の開店当初40円だったものを「値上げするたびになんか申し訳なくてね」と増えていったもの。店名通り太平洋を見下ろす高台近くにある,潮の香りのするこの店。遠来の客が多いのもうなずける。

<TOP>

7月31日(月)げんこつや@那珂町  8月03日(木)2回目

水戸の茨城大あたりからから118号で北上,坂を上って那珂町に入ると程なくこの店が左手に見えてくるのだが,実に怪しげな店である。年季が入った民家風の建物にげんこつマーク入りの妙に今風なデザインされた看板がどんと立っている。店内も正面に高めのカウンター(その向こうが調理場)があるものの,右側に店の大きさの3分の2くらいの畳のスペース。最初は民家を改造したのかとも思ったが,明らかに構造が違う。居酒屋だった店を改造(そのまま?)したそうだ。もともと上水戸のげんこつやはよく知っていたのだが,那珂町の店との関係はわからなかった。なんとなくご主人の顔が似ているような気がしたから,「兄弟ですか?」と訪ねたらそうではなく,あくまで本店(那珂町の店)の経営だそうだ(雇っていると言うこと)。店内には僕と同い年のご主人と奥さん(店に不似合いなくらいエキゾチックなモデル系の顔をしている),インターネットも少しやっているらしく,最初から取材以外の会話がはずんでしまう。学生時代,「ホープ軒@千駄ヶ谷」でアルバイトしていたことがあると言うご主人,同い年だからそのころの東京のラーメン店の話で盛り上がってしまい,話が横道にそれてばかりで,肝心の取材が遅々としてすすまないのだ。おまけにざるラーメンを大盛り(ここの場合2玉になる)で頼んでしまい,それを食べきるのに一苦労。しゃべりながらでは無理である。平日の仕事の合間にクルマを飛ばして来たので,2時半には仕事に戻らなければならない。とりあえず出直すことに。2回目は8/3,松五郎の取材の後だ。時間は夜10時,いきなり行ったのだがにこやかに迎えられる。ところで,ラーメン本で「10人来て5人残ればいい」と書いてあるが,本当は「10人来て2人残ればいい」と言っていたのだ。あとで電話で「これはこのまま書いたらまずいですよね?」と確認して多少表現を和らげることにしたという経緯がある。でも実際「濃い」(「くどい」とも言う)ので,予備知識なしで行く場合はは気をつけた方がいい。人に紹介する場合も然り。特に年輩者にはここのラーメンはつらいと思うのだ。ざるラーメンを勧めるのが無難である。ここのラーメンは万人向けではない。でもそれでいいのだ。20年前の,ホープ軒と並ぶ有名店「ラーメン二郎」はいまだその勢い衰えず「ジロリアン」なるフリークを今もなお増殖させているのだが,この二郎のラーメンも脂だらけのとんでもないラーメン。でもみんなが好きじゃなくても癖になる人が出て繰り返し来てくれた方がこの手のラーメンの場合正しいのである。この店の店主もそれを承知の上で出している。つまり確信犯。「ラーメン」に対する情熱も強く感じる。最近は「行列」「売り切れ」と言う情報が「どんぶり会議」によく入ってくる。注意されたい。

【店名】らーめん げんこつや
【住所】那珂郡豊喰141‐7
【電話】029-295-1969
【営業時間】11:30〜22:00(スープ切れ終了)(15:00〜17:00 中休みの場合有り)
【座席数】24席(カウンター4席・座テーブル4×5席)
【定休日】水休
【駐車場】有・4台
【掲載メニュー】ざるらーめん:600円
【主なメニュー】らーめん:500円・ねぎらーめん:650円・ちゃーしゅーめん:700円・各味噌味・50円増し
【行き方】
水戸市内からR118を北上し常磐道と交差する手前。「県水道事業所」入口の看板のあるT字路交差点信号手前左側。
【キャッチコピー】
スープはゲンコツ100パーセント 茨城ではまだまだ貴重な「背脂系」
【紹介文】
見事なまでに背脂の浮いたラーメン。東京では昔からポピュラーなものだが,茨城では平成5年の開店当初も,そして今もなお,まだまだ珍しいラーメンだ。その原点は20年前の東京千駄ヶ谷のホープ軒。それを北関東向けにアレンジして醤油ダレを強調している。店名どおりスープの材料は豚のゲンコツのみ。「余計なものを入れれば味が変わる」と言うのが店主の持論。かなり客を選ぶ,突出した濃厚なスープになるが,クセになる味だ。「10人来て5人残ればいい。でもその5人が馴染み客になる」と言うのもうなずける。つけ汁に背脂が浮いた「ざるラーメン」がかなり珍しい。唐辛子・酢・胡麻油・砂糖でアレンジしてあり,コクと甘味がある。夫婦でがんばるこの店,今もよく閉店後,東京まで常磐道を飛ばして食べ歩きに行くと言う。その目は今もなお東京を向いているのだ。上水戸にも同名店を経営している。こちらは明るい今風の店で「トッピング」を多種用意しているのがうれしい。

>>> 8月取材分こちら

<TOP>
 act7 掲載できなかった店・掲載したかった店 > part.3
<TOP>
 act8 あとがき・これからの茨城のラーメンは・・・> part.3

<TOP>


ホームはじめに茨城の麺東京の麺食べ歩き日記