● 匠家
■ 匠家(たくみや)@水戸駅南 : 水戸市中央2-2-1 アーバンスタービル1F 金休 11:30〜22:00(売切閉店注意)
水戸駅南「市役所入口」交差点「ローソン」の奥(北側)
駐車場無し(北側の桜川沿いに駐車して歩いていくべきか)
「しばらくの間土日休」との表示があった(2000/05)が「金休」に戻ったようだ(2000/06)平成10年3月頃に開業。水戸周辺ではおそらく唯一の「家系」ラーメン(※)である(1999年現在)。若い主人が1人でつくっている(最近従業員が増えた)。L字型のカウンターだけの店(15席くらい)。店内には家系の系図・家系の説明がディスプレーされ,カウンターにも家系の記事がラミネートパックされておいてある。水戸でこのラーメンはかなり異質な味である。それを理解してもらうためだろう。開店当初は味が一定せず,味濃いめ・油多めの調整で迷ったが,今は麺固めだけで注文している。550円のラーメンが基本。麺は「大橋製麺所」製の特注太麺を使う。家系の基本通りチャーシュウ・のり・ほうれん草がのる。「キャベチャ」(細かく切ったキャベツとチャーシュウをまぜたもの)もトッピングできるが(200円)キャベツが細かく固くて好みではない。「キャベツラーメン」なら東京環8・矢口渡の「こうや」(たぶん「家系」だと思う)が一番のお気に入りである。「家系」ラーメンとしては県内に「山岡家」 「わかとら家」もあるがこの「匠家」が一番「家系」らしい味だと思う。(1999/05 記)
・・・と,1999年当時は思っていたが家系の総本山「吉村家@横浜」を食べてみた印象では,「わかとら家」のイメージが最も吉村家に近かった事を報告しておく。(2001/09追記)
ここの若い店主は,基本的にマイペースでラーメンを作る。1人でやってるときが多いので,それもいたしかたないところだが,混んでるときには食べてる人よりカウンターに座って待ってる人が多いことがある。「あれ,今から茹でるのが僕の麺なの?」ということもあるのだ。家系特有の騒々しい元気さ(「いらっしゃいませ〜」とかの)がないのはいいのだが,愛想もあまりない。何度も通っているのだが,けっこう注文のタイミングには気を遣っている。もちろん食べ終わったらどんぶりをカウンターの上に上げて,テーブルを拭いてから立つのは当然である。早く固定した弟子(店員でもいい)をおいて欲しいものだ。(1999/05 記)
■ 食べ倒し日記より
●1999年8月04日(水)
久しぶりに家族で行く。今日は珍しく「ライス」100円を注文する。けっこう大きな茶碗ででてくる。いい米ではないと思うが,わりと固めで,こってりスープと一緒に食べてるとなかなかいいと思う。ラーメンそのものは,最近ずっと味は安定している。が,相変わらず1人でやっていた。固定した店員はいないものか。
●1999年10月14日(木)
前回見かけた若い店員が今日もいた。やっと固定した店員ができたと言うことか。坊主頭の若者で,おとなしそうだがひたむきさを感じる。かなり厳しい店主なのではないか(TVで放映した本家・吉村家のオヤジほどではないにせよ)と思うが,なんとかがんばって10年後にでも「独立」して,茨城に「家系」を増やしてほしいものだ。勝田あたりにできるとありがたい。
●2000年5月15日(月)
久々に食べに行ったら,お弟子さん二人が仕切っていた。店主以外の人が麺あげするここのラーメンは初めてである。面白いもので店主の代わりの一番弟子の人の立ち振る舞いが店主によく似ている(体格は全然違うのに)。ちょっと不機嫌な顔して仕事をするところ。二番弟子に無愛想に指示するところ。一番弟子の人は店主よりは愛想良かったんだけどね。なんか微笑ましく見てしまった。こうして店の雰囲気を受け継いで,いつかどこかに店を作って水戸にも匠家系の店が増えていくんだろうな・・・。肝心の味だが少しスープの濃度(味ではなく元スープの粘度)が下がったような気がする。さらっとした感じなのだ。
●2000年6月05日(月)
久々に訪ねたら,営業時間が元通りの「金休・11〜22」に戻っていた。
●2000年7月24日(月)=ラーメン本「茨城のうまいラーメン2001」掲載時の取材より
実際に取材した時の裏話等もっと詳しく書いて,最後に各店のデータと実際に書いた紹介文も載せてみた。掲載された文面と比べてみるのも面白いかもしれない(ほとんど変わらないと思うが・・・)
この店の若い店主の「無愛想」ぶりは地元では有名だが,まぁ僕自身は「ラーメン店のオヤジに無駄な愛想はいらない」と常々思っている(うまけりゃいいのだ・そんな店は東京ならいくらでもある)のでそんなに気にならない。でも取材となると話は別だ。話さなければならないもの。ちょっと(かなり?)苦手なタイプである。.実は以前,ここの店主が店の前でたむろして騒いでいたヤンキーの兄ちゃんをじろっと見て(「ガントバシテ」とも言う),おもむろに調理場から出て行き一言二言で追い払ったのを見てからはその感を強くしている。タダモノデハナイ。僕も開店当初から週に一度のペースで通ってきたので,顔を見れば「ほうれん草・固めですね」と言われるようにはなったが,別に今もなお愛想良く迎えられるわけではない。馴染み客の扱いには程遠いのだ(そういうのを望んでいるわけでもないが・・・)。そんなわけで,意を決して訪ねたのは月曜夜の9時半過ぎ。案の定,10時まで営業の店は売り切れでもう閉まっていて,お弟子さんが調理場を掃除している。開かない自動ドアをノックして開けてもらう。「いつもの客が何だろう」と言う感じ。茨城新聞社の名刺を差し出しても今一歩理解できないみたいだ。まさに「何であなたが取材に来るの?」と言う感じ。奥の部屋にいた店主がシャツ姿のまま出てきた。一通り取材の趣旨を説明する。でも,これは事前の打ち合わせとでも思ったのか,「あっ,今から取材をするんですか」との反応。でもまぁいい。もうここまできたら一気に片づけたい。元々この店のことは取材なしでも書けるのである。確認のための取材のようなもの。まず,ここの店主年齢不詳だったが意外に若いことに驚いた。店名の『匠』の意味は漢字そのままの意味(「名匠」とかの)だそうな。自分の名前とかそんな意味合いはない模様。もちろん東京にある匠屋@新小岩,匠家@練馬とは全く関係ない。出身は水戸。湘南家で修行したと言うが,正確には「六角家」出身の兄弟子について「湘南家」に行ったと言うことらしい(はっきりとは言わなかった)。六角家の系統の割には,味が「マイルド」系かな。ところで,この時の実際の応対は,アポ無しの突撃取材にもかかわらず実に丁寧で,礼儀正しい「若者」という感じだった。すると,しばし問題になる店での態度は「パフォ−マンス」か,それとも「家系の伝統」か・・・・。
【店名】匠家
【住所】水戸市中央2-2-1 アーバンスタービル1F
【電話】掲載不可
【営業時間】11:30〜22:00(売切れ終了)
【座席数】カウンター15席のみ
【定休日】金休
【駐車場】無
【掲載メニュー】ラーメン:550円
【主なメニュー】ラーメン:550円・中盛:650円・大盛:750円
チャーシュー・キャベチャ・ねぎ・バター等トッピング各種(50〜300円)
【行き方】
水戸駅南通りを千波湖方面へ向かい「市役所入口」交差点を北進してすぐ左。ローソンの奥。
【キャッチコピー】
水戸で味わえる本場の「家系ラーメン」 とんこつ醤油に太麺で勝負
【紹介文】
「うちはラーメンだけで勝負していますから」まだ二十代半ばの若い店主の目は自信に満ちている。いわゆる「家系」ラーメン,神奈川の人気店・湘南家で修行し平成10年に地元・水戸に初めてこの「家系」ラーメンを持ち込んだ。そのスープは大量のゲンコツ・背ガラ・トリガラ・昆布等を煮込んだ濃厚なもの。鶏脂が浮き独特の甘味があるのが特徴。味は醤油味のみ。麺は東京から取り寄せる特注の太麺だ。もちろんこのラーメン自体,万人受けするタイプのものではない。人によってはくどく感じるかもしれない。でも「はまる」味だ。こってり好きならクセになる。スープの濃さ,油の量,麺の固さは細かく注文に応じてくれる。好みの加減を見つけたい。ちなみにこの店は禁煙。「だってラーメンを食べるところですからね」と店主。至極当然のことのようだ。開業後わずかな期間で若者の圧倒的支持を受ける人気店を作ったこの店主の,一杯のラーメンへのこだわりは半端ではない。●2000年9月20日(水)
「ラーメン本の取材」以来,2ヶ月ぶりである。他の店の取材と仕事で忙しかったせいもあるが,毎週のようにこの店に通っていた僕としては珍しいことだ。ただの一般客として通っていた今までと違い,一度取材とかしてしまうとなんとなく気恥ずかしい(決まりが悪い?考えすぎ?)もので,かえって気を遣ってしまう。当然顔も覚えられているので(当たり前だが)会計の時に一応一通りの挨拶をし,本の発行が遅れ気味なことを告げて早々に店を出る。これで本が出て掲載記事を読まれたらますます来づらくなるなぁ・・・。別に正直に思ったままを書いたのだが,それでも何となくその反応を見るのは,本の感想をその態度で感じさせられるようで・・・。ちなみにこの日のスープは味は濃いものの元スープが薄い(=粘度がもの足りない)感じがした。
●「家系」ラーメンとは・・・
横浜「吉村家」を起源とする横浜ではポピュラーなラーメン。店名に「家」がつく場合が多い。スープはいわゆるとんこつ醤油味で鶏の油が加えられ独特の甘みがある。麺は太麺。スープを良く吸い込んで味が出る特注麺が使われる。「匠家」では神奈川の製麺所から送ってきてもらうようである。チャーシュウのほか海苔3枚とほうれん草が基本となるラーメンにのっている。麺の固さ,味の濃淡,油の量の好みを細かく調整してくれる。新横浜らーめん博物館に出店している「六角家」が有名。