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「江戸っ子ラーメンa亭」

 江戸っ子ラーメンa亭@下北沢:世田谷区北沢2-8-8 月休 11:30〜23:30 

 テレビに出ていた下北沢「江戸っ子ラーメンa亭」

下北沢の繁華街のはずれ,小田急線の新宿寄りの踏切近くに「a亭」はあった。最近ではあまりその名を耳にしなくなったが,1978年当時は有名だったようである。町の中華店といった感じの店は2階に大きな座敷もあり,職人が3,4人くらい忙しく働いていた記憶がある。左側に高めのカウンター,右に小さいテーブルが縦に並ぶ,奥行きのある古い店だった。そして,当時の店内には,壁にズラッとパネルにした写真が飾ってあった。それはテレビ画面をそのまま撮ったようなもので,スタジオにいくつかのラーメン店の屋台があり,芸能人がその前でラーメンを食べているといった感じの何枚かのもの。画面の右下には「ああ,おいしいラーメンが食べたい」と言うテロップ。その当時でも古く感じたのだからもっと以前の番組だったのだろう。顔ぶれと雰囲気からすると,NET(現TV朝日)あたりの昼の番組(川崎敬三の昼のワイドショーか?古いなあ)のようだったと思う。他のラーメン店として「桂花」あたりの名前があったと記憶している。テレビに取り上げられるくらいのラーメンを食べている,もうそれだけで茨城から上京して間もない僕にはありがたかったのである。

「江戸っ子ラーメン」というこの店の看板メニューは薄口醤油味・極細麺のラーメンに辛白菜(ラッパーツアイ)と呼ばれるキムチのような漬け物がのったもの。1978年当時340円だった。とてもさっぱりしたラーメンで固めの麺の舌ざわりもよく,クセになるような味ではないが,何となくまた食べたくなる種類のラーメンだった。麺のバリエーションも豊富で冷やし中華などいつもやっていた。何度か通った思い出がある。わが青春の町下北沢の思い出の店である。

最近買った「たべあるきラーメン東京」(マップルマガジン・昭文社)にこのa亭の写真が載っていた。昔とかなり雰囲気が違ってた。今はよくある造りの入口のようだ。当時は白木の窓枠のガラス戸が右側に並び,左側の白いのれんの奥には反応の悪いガラス製の自動ドアがあったと記憶している。雑然とした昔の店の方が哀愁があったし個性もあったと思うのだが・・・。

2003年1月25日

久々に下北沢へ。学生時代(25年間だが)の上京直後の2年間,通学の通過駅だったこともあり用もないのに吸い込まれるように途中下車してフラフラ歩いていた街。憧れていた「東京の生活」を感じさせてくれた街。今日の目的は「一龍@下北沢」。中堅老舗店には珍しく「石神本」に残っている店で,僕自身は10年以上前に食べた記憶がある。北口の,一番街商店街を抜けたあたりは洒落た店が並ぶ。ずいぶん華やかになったものだ。その中に埋もれるようにこの店はあるのだが・・・案の定,午後8時過ぎで閉まっていた(涙・最近いつもこうだ)。で,久々にシモキタを散策してみる。南へ・・・フラフラと踏切を渡ったところであの店を思い出したたしかこの路地を左に曲がった先に・・・あった,あった「江戸っ子ラーメンa亭」。1978年当時の有名店。ラーメン本の写真を見てとっくに改装したかと思っていたのだが,まるで昔のままで残っていた。唐突に開く,木製の自動引き戸も相変わらず。25年前でも年季の入っていた店内は,もはや歴史的建造物の風情(笑)。席は当然のように満席。2階の広間も満杯の盛況。すごいパワーだ。カウンター席の中程に座り,注文したのは定番の『江戸っ子ラーメン』。ラーメンに辛白菜がのっただけものなのだが,当時としてはここの縮れ麺はかなり特徴的だった。で,今日のスープの味は・・・こんなだったかなぁ・・・麺もずいぶんと柔らかいし・・・僕の嗜好が変わったのか,店の味が退化したのか。でもそれでもいいのだ。


ラーメンは「女」である。

ふと昔のことを思い出して,
久々にそこを訪ねた場合,かなりな確率で「失望」する。
でも,そのうちそれも青春だったと肯定するようになる。
お互いに同じだけ時間が流れているのだ。
それに「好み」は変わっていくものなのである。

ラーメンは女である】より

南口の真ん前の角にあった「代一元」はマクドナルドになっていた。店そのものは地下に潜ったようだ。25年前「angle」片手にこの店に来たことをかすかに思い出した。一番好きでよく通った熊本ラーメンの店「火の国」は何故か店名はそのままに「豚骨醤油」の店になっていた。やはり同じだけ時間が流れているようだ。昔と変わらぬ南口の階段を上り,改札前を抜けて北口に出る。西口方面に坂を上ったところに狭いライブハウスがあったっけ。「ロフト」だったか「屋根裏」だったか・・・(今はどちらも南口にあるようだ)ここで観たライブは「竹田和夫」(「CREATION」ですな)だったような。「森園勝敏」(こちらは「四人囃子」)だったような。それとも思いっきりフォークの「さかうえけんいち」だったような・・・(♪ふるさとへ〜帰る〜少女)。どうも記憶が定かではない。でも懐かしさだけは残っている。そんな懐かしい気分のまま,駅前の書店で「自遊人」と言う雑誌を買った。『大人のラーメン学』と言う50ページほどの特集。全国各地の古いラーメン店が味わい深い写真で紹介されている。パラパラと見て,即,気に入ったのだ。下北沢は今見てもいい街だ。学生時代,こんな街に住めたら楽しかったろうなぁ・・・憧れていたのはもう25年も前の話。まだいろいろな夢があってこれからそれを叶えられると思っていた頃の話だ。

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