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桂花@新宿

 新宿「桂花」の味は変わったというが

桂花に初めて行ったのは1978年2月3日,新宿駅東口・富士銀行脇の路地に今もあるあの狭い店だ。生まれて初めての「熊本」ラーメン,あのとんこつスープはカルチャーショックだった。麺は固かったが,今も現役のイラスト入りメニューに書いある「当店の麺は念入りに調理してありますので云々」という文句を読んでいたので,熊本ラーメン(というか桂花ラーメン)はこんなものなのだろうと思って気にならなかった。ただ当時,讃岐うどんのコシを自慢する高松出身の友人を連れていった時に「これは生煮えじゃないのか,食えん」といわれたことを思い出した。要するに,桂花ラーメンはあの麺が受けいられるかどうかが,好きかどうかの境目なのである。僕は好きである,スープが好きなのである。太肉麺ならなおいいのである。

何かで「本当の熊本ラーメンの味は昔の桂花にはあったが今はない」という表現の文を読んだことがある。僕はここ20年以上桂花ラーメンを食べているのだが味の変化を感じたときはない。というか,昔からあんなものだった。桂花の東京進出は1968年(昭和43年)らしいからその頃を基準にするならわからない(違うなら食べてみたかった)が,少なくともここ20年くらいは変わっていないと思う。桂花に行けばわかるが,駅前店で同じ職人が長くいたのは印象にない(いつも若い人がつくっている)し,あの麺だから麺上げのタイミングなんか問題になりそうもないだろう。スープは他の所でつくっているみたいにも見える。基本のスープが変わらなければ変わり様のない味だと思うのだ。そしてそのスープの変化を僕には感じ取れない。徐々に変わっていったなら気がつかないかもしれないが,僕は茨城在住なのでたまにしか行かない。そしていつも「この味だよなあ」と満足しているのだ。やはりこれは麺の評価次第だと思う。

印象としては末広店(東京の本店か)より,駅前店の方が好きだ。あの狭い店の狭いカウンターの席で窮屈な思いをして食べるのが私の「桂花ラーメン」なのである。そして高くとも太肉麺800円を頼む,太肉とキャベツと茎ワカメがあのスープにはぴったりだ。ただし末広店にあるおみやげはだめだ。茨城在住の私は,留守番のラーメン好きの妻に食べさせようと何年か前に買ったことがあるのだが,がっかりした。あのスープは店の寸胴鍋からでしか味わえないのである。

 「桂花@新宿」が今も存在するということ

いまさら桂花のことなのである。常に新しい味を追い続ける傾向にあるネット上では,桂花が話題になることはほとんどない。たまにあったとしても,支店の開店云々のことである。そして酷評されている。無理もない。昔と違い様々な形のトンコツスープがある現在では無理に桂花の味に慣れる必要はない。ましてやあの麺だ。時代が違うのだ。それに「桂花」は「老舗」でもない。開店30年になるとはいえ,熊本の本店に対する「支店」に過ぎない。チェーン展開も今なおしている(柏にできたという)。このへんに,ネット上で軽く見られる原因があるのかもしれない。その「桂花」が改装したとの情報をネット上から得た。

ときおり強い雨が降る日曜の午後10時半,それでも桂花はにぎわっていた。僕は1階が好きなのだが,2階に上げられてしまった。内装はどこが変わったんだろうと言う感じだ。ペンキを塗って,椅子を新しくしたくらいだろうか。太肉麺を注文。なんと900円に値上がりしていた。ちょっとした高級ラーメンである。味の話はここではしない。それこそ「いまさら」なのである。僕が好きで,慣れてしまったからそれでもういいのである。東京の「ラーメン通」の人達に哀れむように見られてもいいのである。理解してもらう必要もない。

いつも思うことなのだが,桂花でまわりの客を見ていると,確信犯が多いことに気付く。初めての人をあまり見ない。みんな「今日はどれにするか」と言う感じで注文し,あの固い生煮えのような麺を何の迷いもなく黙々と食べているのである。リピーターの多い店なのではないか。しかも,ごく普通の「ラーメン好き」なリピーター。でなければ路地裏とはいえ駅前の一等地のこの店を,30年間変わらず維持していくのは難しいのではないか。

「桂花」を批判し,それを好きだという人に苦笑するのは簡単である。そう言うタイプのラーメンだから,それもいたしかたない。断っておくが,僕には「桂花」を「名店」にしようなんて気はさらさらない。BEST100に入らなくてもけっこうだ。しかし,ただの支店に過ぎない桂花@新宿が,30年もあの地に存在し続けている事実を考えて欲しい。「ラーメン通」でなくても「桂花」を愛する人は少なからずいるのである。だから「桂花@新宿」は今も存在しているのである。(1999.7.11

 拉麺徒然草』 桂花編 (2003/01/22)

去年の暮れの話なのだが

発作的に『懐かし系のラーメン』が食べたくなった

年に何度かそう言うときがあるのだ

その日選んだのは,あの「桂花@新宿

新宿アルタの脇の路地を入ったところに,昔も今も変わらずに存在する店

で,1Fの狭いカウンター席

左奥と右手前に空席が二つずつ。その間には男女4人のグループ

肩をすぼめて右手前奥に自分の席を確保する

 

・・・あとから若い男3人組が入ってきた

奥の2つの席に2人が座り,さらに「すいません」と低い声

手前の4人グループに一つずつ席を移動してくれと言うことらしい

 

おいおい,1人座るために4人を移動させるのかい?

もうすぐ彼女達は食べ終わるんだぜ

 

思わず3年前に書いた「持論」を思い出して呟いた

 

・・・小学生か,おまえらは

 

とりあえず手前に1人座って,食べ終わったら移動したらいいだろうに・・・

ラーメン食べるだけなんだから迷子になるわけがない

 

さて,その4人グループもほどなく食べ終わり,替わりに座ったのは若いカップル

その彼女,どうやらこの店は初めてらしい

これまた「持論」で想定した場面だ

 

差し出された「桂花ラーメン」を見て

おいしそう〜

まぁわかる

スープを一口飲んで

あっおいしい〜

まぁいいだろう

続いて麺を食べる・・・ちょっと沈黙・・・でも

・・・おいしい・・・

 

嘘だ!!

桂花のラーメンは,ましてやその麺は

初体験で旨さがわかるほど甘ちゃんな麺ではない

事実この僕も,初食から25年経ってもまだわからないでいるんだもの

「これ,生煮えじゃないのか??

 

それをわかった上で通う人間で

この店は30年以上もここに存在するのである

1年に何度か,ふと食べたくなってしまう僕のような人間

それなりに多い店なのである

 

>「ラーメン屋でのマナーについて考える

(2003/01/22)

 三連休で九州縦断&尾道ラーメン=念願の「桂花本店@熊本」へ

2003年5月25日

最後の1杯はと考えて,頭に浮かんできたのはマイルドなトンコツスープ。そこで思い浮かんだのはなんと「桂花@新宿」。連休の「九州縦断旅行」の影響があるのは否めないが,浮かんでしまったのはしょうがない。新たに新店開拓する気力も情報もないので,そのままアルタ裏の「桂花@新宿」へ。注文はもちろん「太肉(ターロー)麺」(900円!)。HP開設以後,この店に来るときはいつもついでと言うか,中途半端な状態(満腹とか)で食べることが多かったので,こうしてゆっくり味わって食べたのは久しぶりだ。誰がなんと言おうと,25年間慣れ親しんだ味なのだからこれはこれでいいのである。茎わかめとキャベツに甘い太肉・・・それでいいのだ。

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