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山岡家@牛久

牛久町・国道6号沿い・吉野家と並んである・深夜も営業している・阿見店もある

店のたたずまいとしては荒れた店である。以前来たときにも感じたのだが,結構客は入っているようなのに,この店はあまり「見た目」というものを考えていないようだ。丸椅子の表面のビニールは破れ,調理場の壁は雑なペンキ塗り,カウンターと調理場の境(つまり目の前)には油よけに段ボールがガムテープで雑に立てられている。古くても清潔な店はいくらでもある。店主のポリシーの問題なのだろうが,初めて来た人は「失敗したかな」と思ってしまうのではないか。

もっとも,たとえ雑然としててもうまけりゃいいのである(東京・町田の「雷文」なんかいい例だ)。醤油ラーメン(550円)を注文。ここも家系の基本通りとんこつ醤油に太麺,海苔3枚・チャーシュー・ほうれん草である。味の方だが,とんこつ醤油に鶏油という家系の基本(?)からすればあっさり系の味だと思う。何が違うのかというと,スープの濃度(味の濃さではなく)・鶏油の量・麺の吸水性であろうか。つまりまずスープの濃度が低いのである。熱いには熱いのだがその熱さが舌に痛い。たとえは悪いが「一番風呂」に入ったときの刺激感と同じものを舌に感じたのである。僕の家系のイメージはもっとまろやかなスープなのである(この日が日曜の午前中ということで,元のスープの出来が間に合わなかったのかもしれないが・・・)。つぎに鶏油の量が少ないこと。表面に浮く鶏油による甘さ(まろやかさ)が家系ラーメンの重要な要素だと思うのだ。それが少ない(感じない?)。最後は麺の吸水性が低い点。家系の創始者・吉村家の主人はこの独特のスープを作り出したとき,スープに負けない麺をと製麺所と試行錯誤して特注太麺を作らせたという。麺のスープの吸い込みをよくして麺を噛んだときに味があるようにしたのだ。私の好きな「こうや@東京・矢口渡」「匠家@水戸」では「大橋製麺所」の麺を使っている。情報によると,どうやら山岡家も同じ製麺所のようだ。ただ麺が他の家系よりつるつるしていると感じたのである。だから味のしみこみも悪いように思えたのである。ゆで方だけの問題ではないと思うのだ。

ただ,この日の出来がたまたま悪かったのかもしれない。「こうや」「匠家」にもそれはある。でも,私のように遠方からわざわざ食べに来た客にとってそれは通用しない。店の負けなのである。もっとも,正しい「家系の味」なんてあるかどうかわからないから,最後は好みの問題になってしまう。私がイマイチと感じてしまうこのスープの味と麺がむしろ好みと思う人がいるのは当然だろう(1999.4.18)

「山岡家の味は六角家本店に似ている」と言う意見をもらった。恥ずかしながら有名店「六角家」を食べたことが無い私としては,「本当の家系の味」に対する自信がなくなってきている。私の敬愛する「こうや@矢口渡」でさえ,「ラーメン王」(石神秀幸氏)の本で修業先を伏せている。むしろ「こうや」の方が家系としては亜流なのかもしれない。5年前に「こうや」の味と出会い,その後に「家系」の存在を知ったので,「こうや」=「家系」と言う固定観念ができてしまったのかもしれない。そういえば週刊誌で評判の店として紹介されていた東京・経堂の「せいや」で食べたときもあっさりしていると感じた。今思えばこの「山岡家」にむしろ似ていたかもしれない。「こうや」の味が好きなことにかわりはないのだが・・・(1999.4.19)

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